隠された部屋

公開日: 怖い話 | 洒落にならない怖い話

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友人が引っ越しをした。

引っ越し先は築10年の一戸建てで、そこそこの広さもある良い家だった。

だが、家賃が異常なまでに安い。周囲の物件の半分程度しかないのだ。

俺たちは、

「そんなに安いなんておかしい」

「絶対いわく付きだぜ」

「夜は幽霊に気をつけろ」

などと友人を茶化していた。

やがてそいつは、

「そんな事は絶対に無い。来てみればどんなに良い家かわかる」

と言い始めた。

そこで、数人でそいつの家に遊びに行くことになった。

その家に入ると、やはりどこかイヤな気配がした。

そいつはしきりに、

「どうだ、なにもないだろ。おまえらは僻んでいるだけなんだ」

などと言っていた。

1階を回った後、階段を登り2階を見て回った。

そこで、昔不動産関係の仕事をしていた家のことに詳しい男が首を傾げた。

「どうかしたか?」

と訊くと、

「1階と2階の広さが違う。2階にはもう一部屋あるはずだ」

と言う。

言われてみると、確かにおかしかった。

2階の廊下の先に、もう一部屋あるはずだった。

問題の廊下にみんなで行って、突き当たりの壁をよく見てみると、壁紙が周りより新しい事に気がついた。

そこで、壁紙を引き剥がしてみると、男の予想通りに扉があった。

なにがあるのかとドキドキしながら戸を開けようとしたが、鍵がかかっていて開かない。

俺たちは友人の許可を得て扉を破ることにした。

数度の体当たりの後、扉は開かれた。

隠された部屋の中には、壁と床に青いクレヨンで文字が書かれていた。

見渡す限りに、

「おとうさんだして おとうさんだして おとうさんだして おとうさんだして…」

と…。

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