道を教えて下さい

夕方の路地

「道を教えて下さい」

夕方の路地でそう話し掛けてきたのは背の高い女だった。

足が異様に細く、バランスが取れないのかぷるぷると震えている。

同じように手も木の枝のように細く、真っ赤なハンドバッグをぶら下げている。

はあはあと何度も溜め息なのか呼吸なのか分からない息を吐き、僕に道を訊いているはずなのに視線は全く違う方向を向いている。

「あ…あの。どちらへ…?」

やばい人っぽい。

僕は早く答えて立ち去ろうと思った。

「春日谷町1-19-X-201」

「………」

そこは僕のアパートの住所だった。

部屋番号までぴったりと合っていた。

「し、知りません」

僕は本気で関わり合いたくないと思い、そう答えた。

すると女はゴキッと腰が折れ曲がるほどにお辞儀をして、またふらふらと路地の奥へと消えて行った。

関連記事

神秘的な山道

おまつり

俺の生まれ育った村は、田舎の中でも超田舎。もう随分前に市町村統合でただの一地区に成り下がってしまった。これは、まだその故郷が○○村だった時の話。俺が小学6年生の夏のことだった。…

星空(フリー写真)

霊感少女

もう随分前になるけれど、僕が体験した死ぬ程洒落にならない話。当時大学生だった僕は恋をしました。相手はバイト先で知り合った子。バイト仲間数人で遊びに行ったりして仲良くな…

赤い橋

赤い橋

俺が高校生だった頃の話。両親が旅行に出かけて、俺は一人でお婆ちゃんの所に行ったんだ。婆ちゃんはよく近所の孤児院でボランティアをしていて、俺もよく介護のボランティアをして…

呪詛

相も変わらずこのスレは荒れてるようで。怖い話の怖さとは、それを見聞きする環境にも左右されるのはご存知の通りだと思いますが、現在のスレのような状況では、仮に良質な話が投下されたと…

てるてる坊主(フリー素材)

いもうと

俺の家には昔、いもうとが居た。いもうとと言っても人間ではなく、赤ん坊くらいの大きさの照る照る坊主みたいな奴だった。下の方のスカートみたいな部分を丸く結んだ感じ。まあつま…

紅葉狩り

俺が大学時代の20年以上前の話。友達がワンボックスの車を買って貰ったとかで、仲の良い女の子達も誘って紅葉狩りに行ったんだ。山奥で湖があって山道を歩くような所なんだけど、…

夕焼け(フリー素材)

無知

最近、某巨大掲示板でとあるコピペを見つけた。それを見て忘れかけていた数年前に起きた事件を思い出したので、ここに書こうと思う。 ※ 確か今から5年前の夏休み。俺が中学生の頃、…

焼いてくれ

俺が昔、火葬場でバイトしていた時の話。ある日の朝に斎場(火葬場)の玄関を掃除してたら、黒い SUV車が入ってきて、成金な感じで時計もフランクミューラーなんかしてるおっさんが車か…

落ちるおじさん

先日、大学の同期の友人と久々に食事した時の話。友人は大阪に出て技術職、私は地元で病院に就職しましたが勤めている病院は古く、度重なる増改築で構造はぐちゃぐちゃ。たまに立ち…

折詰め

近所の中華屋でラーメンを食ったんだが、金を払おうとしたら店主がいらないと言うんだ。「今日でお店終わり。あなたが最後のお客さん。ひいきにしてくれてありがとう。これ、おみやげ」と、…