おまえこそ

公開日: 心霊体験 | 本当にあった怖い話

P3190017

自分が大学生の時の話。マジで思い出したくない。

自分が学生の時の友達にA君という奴がいた。A君には中学くらいの時から付き合ってるBさんという彼女がいて、いつもどこに行くにも一緒ってくらいのラブラブっぷりだった。

そんなある日、Bさんが交通事故で亡くなった。それ以来、A君は前までの明るかった性格が一変し、暗く塞ぎ込みがちになり、そのうち大学にも来なくなっていった。

心配した友人一同は何回もA君の住んでるアパートに行ったりもしたんだが、A君は大抵留守で、たまに部屋にいても居留守を使われる始末だった。

そして2ヶ月ほど経ち、みんながA君のことを忘れ始めた頃に、ひょっこりA君は大学にまた来始めた。

それは以前のような明るい性格のA君だったのだが、どこか影があるように感じられ、実際に顔はやつれて目は落ち窪んでいた。

どこか変わってしまったA君を他の友達は避け始めたんだが、自分だけは結構A君と仲が良かったので付き合いを続けた。

しかし、どうもA君の話しがおかしい…。

自分「なあ、A。あんまり考えすぎるなよ。落ち込むのは解るけど、そんなんでこれからどうするんだよ?」

A「大丈夫だよ。毎晩ちゃんとBが俺に電話で励ましてくれてるから」

自分「え!? 何言ってるんだよ?」

A「Bってば可愛いよな。俺の気持ちを察して電話掛けてきてくれるんだ。それのおかげでなんとか大学にも来れるようになったんだし」

A君は虚ろな目で自分を見ながら言う。

自分「しっかりしろよ! Bちゃんは死んだんだよ!」

A「しっかりするのはお前のほうだよ! Bは生きてる。ちゃんと俺に電話もくれるし……」

憤りながらも生気のない声で自分にまくしたてるA君に自分はゾッとした。

自分はA君がちょっと尋常じゃない精神状況にあると感じ、病院に行くことを薦めたが、いっこうに聞く耳もたない様子。

その時は自分もつい思い余って、

「じゃあおまえの部屋連れて行けよ! 俺がBちゃんと直接話すから!」

と言ってしまった。

今思うとこんなこと勢いで言うんじゃなかったと激しく後悔しているのだが…。

その日の夜、自分はA君の部屋に行き、普通に飯食ったりテレビ見たりして時間を過ごした。

その時一緒にいる分にはA君に特に変わった様子もなく、ふと時計を見るともう午前2時を過ぎていた。

『やっぱりA君はちょっと精神的に疲れてるだけだな。しばらく様子見ってことで大丈夫だろう』なんて思っていた矢先だった。

突然A君が立ち上がりながら言った。

A「ほら、来た来た」

自分「え!? 何が?」

ビックリしながら自分は聞いた。

A「何って、話しただろ。Bから電話が来たんだよ」

そう言ってA君は電話に向かって歩いていく。そしてA君はおもむろに “鳴ってなどいない” 電話の受話器を取ると、さも誰かと話しているように楽しげに会話している。

よくよく聞くと今日の大学での出来事とか、自分が部屋に遊びに来ていることなどを話している。

自分「電話なんか鳴ってないだろ~!!」

急に怖くなった自分は叫びながらダッシュでA君に近づき受話器をもぎ取った。

隣で「何するんだよ!」とか喚き散らしてるA君をシカトして、自分は受話器に向かって大声で言った。

自分「誰なんだよ! イタズラならたち悪いぞ! いい加減にしろ!!!」

しかし受話器からは何も聞こえてこない。ウンともスンとも言わない受話器に自分は少しホッとしてA君に言った。

自分「なんにも聞こえね~ぞ。ただの無言電話じゃね~か! いい加減に…」

そこまで言った時にふと気が付いた。自分は “鳴ってない” 電話の受話器を耳に当てていた。

普通、鳴ってない電話の受話器を取ると「ツ――――――――――」とかいう音が聞こえるはず。

なのに受話器からはひたすら無音だった。

胸の奥から恐怖がものすごい勢いでこみ上げてくる。受話器を耳に当てたまま完全に固まってしまった自分に、受話器から女性の、しかし図太く耳障りの悪い声がトドメを刺した。

「オ マ エ コ ソ ダ レ ダ」

自分は受話器を床に投げ捨ててダッシュでその部屋を出た。なぜかA君がその時、今まで見たこともないような顔でニヤニヤ笑っていたのを覚えている。

それ以来、自分は完全にA君を避けた。しばらくしてA君はまた大学に来なくなり、風の噂で退学したということを聞いた。

関連記事

トンネル(フリー写真)

変化するビデオテープ

友人から聞いた話。 彼が大学に通っていた頃に、泊まりがけで遊びに行ったグループが居た。 その時、仲間の一人がビデオカメラを持っていて、みんなふざけて色々映していた。 …

死者からの着信

実際の体験談を書きます。友人(H)が自殺をした時の話。 Hとは高校時代からの仲で、凄く良い奴だった。 明るくて楽しい事も言えて、女子には人気が無かったが、男子には絶大なる人…

運転注意

先日、父親が知り合いを近所の病院へ車で送った時の話。 その病院は市の中心部から少し離れたところにあり、ちょっとばかり丘の上にある戦時中からある大きな病院。 入り口まで着き、…

ホテルの部屋(フリー写真)

有名な幽霊ホテル

知り合いの女性から聞いた話。 道後温泉の奥手にあるO道後温泉。幽霊が出るホテルがあることで、とても有名な場所。 そこのK館の50X号室に、彼女ともう一人の女性が泊まることに…

不思議な手紙と異常な部屋

去年の暮れ、会社に一通の手紙が届いた。 編集プロダクションに勤めている俺への、名指しの手紙だった。 中を読むと自分のエッセイを読んで添削して欲しい事、そして執筆指導をして欲…

ファミレスのバイト

ファミレスでの俺のシフトは、普段は週3日で17時~22時と日曜の昼間。 肝試し帰りの客の一人が、憑いて来た霊らしきものを勝手に店に置いて行った後での出来事。 ※ マネージャー…

覗き込む女の子

俺が小学校時代の担任から聞いた話。 大学の夏休みのある夜、友人から電話が掛かってきた。 その友人は俗に言う走り屋で、夏休み中はよく2人で夜中に一緒にドライブに行く仲だったの…

隠し部屋

20年以上前の話なのですが聞いてください。 友人が住む三畳一間月3万円のアパートに遊びに行ったときのことです。冬の寒い日でしたが、狭い部屋で二人で飲んでいるとそこそこ快適でした。…

ビジネスホテル

警備のアルバイト

学生時代、都心のビジネスホテルで警備のアルバイトをしていました。 従業員の仮眠時間帯、深夜12時から明け方の5時まで、フロントの業務と巡回を一手に担っていたのです。 門限…

峠

イキバタ

友人は「俺って社会不適合者だよね!」と笑いながらタバコを吸う。 現在高校生やり直し中の通称「イキバタ」さん。行き当たりばったりを略しての渾名らしい。 俺はもう卒業したのだが…