真っ黒い塊

公開日: 心霊体験 | 本当にあった怖い話

ホテルの部屋(フリー写真)

2年程前の話です。

広島から都内の会社の内定式に参加した私は、そのまま会社近くのビジネスホテルに一泊する事にした。

そのホテルは1階と2階が証券会社。3階と4階が客室。5階がフロントで、そこから上がまた客室という変わった造りのホテルだった。

チェックインを済ませた私に渡されたのは、4階の2号室の鍵。

4階に降りた私が自分の部屋を探してフロアをウロウロしていると、一枚のドアに目が留まる。

その扉には部屋番号のプレートが付いていた跡はあるのだが、肝心のプレートが付いていない。

部屋の配置図を見ると、やはりそこは15号室らしい。

一部屋も無駄に出来ないその手のホテルで、折角の部屋が潰してあるのだから、きっと客室でどなたかがお亡くなりになられて使えないのだろうと思った。

私は自分の部屋を探して入った。

翌朝も早起きしなければならず一刻も早く眠りたかったので、23時前にはベットに潜っていたのだが、どうにも寝付きが悪い。

部屋の空調を調整しても、何をしても眠れない。

テレビを点けてボーッと眺めて時間を潰していたら、午前3時半頃にウトウトし始め、いつの間にか眠りに就いていた。

少しするとパッと目を覚ましてしまった。

起き上がろうとするも体が動かない。金縛りだった。

それと同時に耳元で誰かが

「アハハ。アハハ」

と笑っている声が聞こえた。

声の方を向こうとするが、金縛りのせいで体が動かない。

何とか眼球だけ動かせる事に気が付いた。

声のする方へゆっくり目を向けると、そこで笑っていたのは真っ黒い塊だった。

寝るためにメガネを外していたのではっきりとは見えなかったが、私にはそれが人の頭のように見えた。

その笑い掛けてくる人の頭のような真っ黒い塊は、スゥーッと天井近くまで上がって左右に揺れながら、私に向って

「アハハ。ハハ。アハハ」

と笑い続けていた。

恐怖で声の出ない私は、その揺れながら笑う塊を見続けていた。

何とかこの場を逃げ出したい私は、ありきたりだが心の中で必死にお経を唱えた。

するとスッとその塊は消え、金縛りも解けた。

後日判ったのですが、そのホテルでは私が宿泊する一ヶ月程前に、同じ4階で男性が焼死体で発見される事件があったそうです。

そしてその方が焼死されたのは、私の誕生日と同じ9月7日だったそうです。

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