消失の謎

校庭

会社の後輩に聞いた、その子の友人(Aさん)の話です。

Aさんが小学生の時、彼女はとても積極的で、休み時間には校庭で他の子どもたちとドッジボールを楽しんでいました。ある日、チャイムが鳴ると、Aさんは一番に教室に戻ることにしました。

教室の扉を開けると、クラスの生徒全員がすでに着席しており、担任の先生が心配そうに言いました。「Aさん、どこに行っていたの?みんなで探していたんだよ。」

Aさんは混乱し、「え、でもチャイムが鳴ったから校庭から戻っただけです…」と答えましたが、実はその時、Aさんは一日行方不明だったのです。その日も家に帰らなければ、捜索願が出されるところでした。

時間が経過し、Aさんは成長して看護師になりました。ある夜、夜勤が終わり、車で一人家路についていると、真夜中の静けさの中、いつも通るトンネルを抜けた瞬間、目の前には突如として海が広がっていました。

驚いたAさんは、山方面に向かうはずが、なぜか海沿いの道に出てしまっていたのです。近くのコンビニで場所を確認すると、そこは日本海沿いの町でした。彼女は半泣きで地図を購入し、一晩かけてなんとか自宅に戻りました。

レシートを見ると、仕事を終えた後、不可能と思われる短時間でそのコンビニに到着していたことになります。この事実にAさんは混乱しました。

その後、Aさんは仕事を辞め、オーストラリアへ留学しました。後輩はAさんと手紙のやり取りをしていましたが、ある日突然連絡が取れなくなりました。心配した後輩がAさんの彼氏に連絡を取ったところ、彼もAさんからの連絡が途絶えていることを知りました。

後輩がAさんの実家に問い合わせると、オーストラリアでAさんが行方不明になっていたことが判明しました。現地警察は行方不明だけでは捜査が難しいとして、家族は自ら現地に赴いて調査しましたが、明るく積極的なAさんが計画的な事件に巻き込まれることは考えにくいとされました。

結局、突発的な事件に巻き込まれた可能性が残るのみですが、Aさんの部屋は何も異常がなく、「ふと」いなくなったような状態でした。現在もAさんの行方は不明のままですが、その彼氏も私の後輩も、彼女が「ふと」帰ってくるかもしれないと期待しています。

私がこの話を聞いた時、鳥肌が立ちました。

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