神隠しの記憶

田舎

数年前、子供の頃に体験した不思議な出来事がつながったことをお話しします。私が5歳くらいの時、兄と一緒に畑仕事を手伝うことがよくありました。畑から数十メートル離れた場所に大きな岩が何個も積み上げられた構造物があり、その中は子供がちょうど入れるほどの狭い入り口で、中は意外と広くて秘密基地のようでした。

ある日、兄とその秘密基地で遊んでいましたが、兄がお菓子を取りに行くと言って一旦出ていきました。私は基地の中で一人待っていましたが、兄が戻ってくるのに予想外に時間がかかりました。感覚的には20〜30分は待っていたように感じます。

基地の中から這い出そうとしたとき、外の感触がおかしく感じました。草むらのはずが、サラっとした砂のような感触でした。戸惑いながら外に出ると、目の前には神社のような建物があり、周囲には石畳が敷かれていました。

周囲には大きな牛や馬の彫刻があり、多くの人々がいました。しかし、彼らの話す言葉は私には理解できない関西弁で、恐怖と困惑を感じて大声で泣きました。周囲の人々は私に何かを言いかけましたが、私には理解できませんでした。

怖くて、必死に元来た建物の下に逃げ込みました。その際、奥へと逃げ込むうちに再び草むらに出ました。服は泥だらけになり、家に帰ると母に怒られました。

この出来事を兄に話すと、彼は私が草むらで大泣きしていたと言いました。その後、この秘密基地をしばらく避けていましたが、小学1年生になった頃、再びその場所を訪れました。入口が狭くなっていたため、中に入ろうとしたところ、中から小さな手が現れました。

近所の人を呼び、大きな騒動となりましたが、最終的には誰も見つからず、石の山をどかしても何もなく、私はまたもや叱られました。しかし、その場所からは10個ほどのキラキラしたものが見つかりました。

30年近く経った今、そのキラキラしたものの正体と場所が明らかになりました。私が関東から関西に嫁いでから、娘を連れて遊びに行った神社で、娘がクレーンゲームで取ったプラスチック製のクリスタル玩具を、境内の小さな穴に入れているのを見たのです。帰省した際に実家で見つかった宝物箱には、娘の宝物がありました。

子供の頃の記憶が現実と繋がり、時と場所を超えた出来事が明らかになった瞬間でした。これは一種の神隠しのようなものでしょうか。もし当時逃げずにその場に留まっていたら、どうなっていたのでしょうか。少し考えると怖くなりますが、不思議な体験はこれからも続きそうです。

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