遺伝

公開日: 本当にあった怖い話

スパイラル

子供たちを連れて実家に遊びに行った時のこと。

普段から穏やかな母と明るい父と、同居の妹一家と、みんなで楽しく話していた。

途中で母が「そうだ、○○(長男)にいい本を見つけたのよ♪」と笑顔で押し入れを開けて、下の段を見るために座ったのだが、いつまでも動かない。

探している感じでもない。

長男が「どうしたの?」と軽く肩を叩いたら、母の身体は静かに床に倒れた。

会話していた時の笑顔のまま、既に亡くなっていた。

手にはかつて私が母に貰って大切にしていた本がしっかり握られていた。

あまりに突然過ぎて、よく解らないまま解剖に回され、葬儀を済ませた。

死因もよく判らないらしいが、取り敢えず心不全ということにされていた。

下の子にはかなりの恐怖体験になってしまったらしく、それ以来私から離れられなくなってしまった。

文字通り、お風呂もトイレも、寝るのも一緒。

実は私は、かつてこれと同じ光景を見たことがある。

母の叔母に当たる人(祖母の妹)が、私が小さい時に外出しようと玄関の上がり框に座って靴を履いている途中で亡くなっている。

「カルピス、何味がいいの?」というのが最後の言葉だった。

妹はこの時まだ生まれていなかったから、知っているのは私だけ。

祖母は母が幼い時に亡くなったから、祖母の妹に当たる人に母は育てられたと言っていた。

でも、もしかして祖母もこの原因不明の突然死だったのではないかと、最近強く思うようになった。

だから我が子を慰めているふりしながら、私も恐怖に怯えている。

次は自分なんじゃないかと…。

関連記事

笑う女

旅先で知り合ったアニキに聞かせてもらった話。 このアニキが昔、長野と岐阜の県境辺りを旅していた頃、山間の小さな集落を通りかかった。 陽も暮れ掛けて夕焼け空に照らされた小さい…

小さな鍾乳洞

少し昔……と言っても15年以上前の話になる。 俺の地元には小さな鍾乳洞がある。 田んぼと山しかないド田舎だったので、町としても鍾乳洞を利用して観光ビジネスを興そうとしたらし…

話しかけてきた人影

私の祖母は、亡くなるまでに何度もこの話をしていた。それは、私の父がまだ赤ん坊だったときのこと。 ロンドンが空襲に遭い、住む家を破壊されてしまった祖母は、友人の家に身を寄せることに…

ハイド君

今でも不思議で訳が解らないんだけど、俺の幼馴染が遭遇した話を書きます。幼馴染は女なので、名前は仮にA子とします。 もう5年前になるけど、A子は当時23歳だった。そこそこ美人なんだ…

文字化けメール

去年の3月の事。俺は高校を卒業し、大学へ通うようになるまでの数週間、暇を持て余してひたすら遊び歩いていた。 そんなある日の夕方、友人(A)から「暇だからドライブ行こうぜ!」という…

感謝の言葉

数年前に、東京の某グランドホテルで客室係のバイトをした時の話です。 ある日の早朝4時くらいに、姿見(全身を映す鏡)を持ってきてくださいとの電話が入りました。 こんな時間にな…

妹を守るために

これは知り合いの女性から聞いたマジで洒落にならない話です。一部変更してありますが、殆ど実話です。 その女性(24歳)と非常に仲の良いA子が話してくれたそうです。 A子には3…

六甲山の牛女

六甲山に出る牛女って知ってる? 実際それを見た人に話を聞いたよ。『牛女』にも色々種類あるらしいけどね。 走り屋の間の噂では、牛の体に女の顔(般若という話もあり)で、車の後を…

蝋燭

キャッシャ

俺の実家の小さな村では、女が死んだ時、お葬式の晩に村の男を10人集め、酒盛りをしながらろうそくや線香を絶やさず燃やし続けるという風習がある。 ろうそくには決まった形があり、仏像を…

カメラ

零というゲームが発端の出来事

『零』というゲームを知っているかな? 幽霊を写せる特殊なカメラを使い悪霊と戦う謎解きゲームみたいなやつ。 それが発端とも言える話を嫁がしてくれた。 ※ オカルトマニアの…