公園の友達

公開日: ほんのり怖い話 | 心霊体験

公園

お盆の季節になると、私はある思い出をよく振り返る。

私が小学2年生のころ、タケシという友達と日々一緒に遊んでいた。

我々のお気に入りの場所は川の近くの公園で、日が暮れるまでの時間をそこで過ごしていた。

ある日、公園の外で唐傘を被った托鉢のお坊さんが静かに私たちを見つめているのに気づいた。

「あのお坊さん、ちょっと気持ち悪いよね」と私は言った。

タケシは「うん…」

と返事をしたが、お坊さんの存在が彼を気にかけさせていた。

しばらくの後、そのお坊さんが公園内に足を踏み入れ、錫杖を地面に強く打った。

その音に驚いた瞬間、タケシは公園を飛び出して走り去ってしまった。

私は驚きの中、固まったままで、お坊さんが公園から去るのを見送った。

家に帰ると、あのお坊さんが我が家から出てきて、私の頭を撫でながら

「○○君、大きくなったね」

と言い残し、去っていった。

翌日、母は私を連れて川の近くの小さなお堂へ案内した。お堂にはお地蔵さんが祀られていた。

それ以降、タケシとは一緒に遊ぶことはなかった。

中学2年のお盆、タケシのことを思い出して母に尋ねたところ、彼の正体を知ることになった。

母は「あのお坊さんは、家のお墓があるお寺の僧侶。タケシは、かつてその川で亡くなった子供の霊だったのよ」

と語った。

タケシと遊んでいたときの温かな手の感触や、遊びながら埃を払いのけた記憶は今も鮮明に残っている。

実際に彼は霊だったのか、不思議に思い続けている。

中学2年以降、私は毎年お盆にそのお堂へお参りをしている。

しかし、今年は訪れることができない。

申し訳ない、タケシ。

関連記事

天国(フリー画像)

人生のやり直し

俺は一度死んだことがある。 これだけだと訳が解らないと思うので詳細を説明する。 ※ 小一の頃、夏休みが終わり二学期が始まった。運動会や遠足もあったし、毎日普通に生活していた。…

立ち入り禁止の波止場

友達の怖い話。 仮にK君としよう。彼は沖縄出身で、若い頃は結構やんちゃなやつ。 「本当におばけなんかいるのか? じゃあ、試してみよう」なんて言うやつだった。 例えば夜…

サイパン(フリー画像)

サイパンに残された日本兵

十数年前の「人事院月報」という、国のお堅い雑誌の読者欄に何故かあった話。 少し怖かったので今でも覚えています。大体下記のような内容でした。 ※ 夏休み、一家でサイパンを訪れた…

満タンのお菓子

私の家は親がギャンブル好きのため、根っからの貧乏でした。 学校の給食費なども毎回遅れてしまい、恥ずかしい思いをしていました。 そんな家庭だったので、親がギャンブルに打ち込ん…

青い花(フリー写真)

人が増える霊園

大学時代の友人が事故で亡くなって4年経つ。 先週、サークル仲間で集まって墓参りに行ったんだ。 田舎の小さな霊園だから、休日の昼間なのにお参りしてる人はあまり居なかった。 …

逆光を浴びた女性(フリー素材)

真っ白な女性

幼稚園ぐらいの頃、両親が出掛けて家に一人になった日があった。 昼寝をしていた俺は親が出掛けていたのを知らず、起きた時に誰も居ないものだから、怖くて泣きながら母を呼んでいた。 …

夜の山

霊感のある女性

あれは去年の秋頃だったと思います。 夕暮れ時、近所に買い物に出た私はふと、その日がいつも買っている雑誌の発売日だったことを思い出し、本屋へと足を向けました。 本屋はスーパ…

ホテルの部屋(フリー写真)

有名な幽霊ホテル

知り合いの女性から聞いた話。 道後温泉の奥手にあるO道後温泉。幽霊が出るホテルがあることで、とても有名な場所。 そこのK館の50X号室に、彼女ともう一人の女性が泊まることに…

夜のオフィス

『零』シリーズ裏側の恐怖

ホラーゲーム『零』シリーズの柴田ディレクターは、お祓いを行わないことを信条としていました。 真の恐怖体験を提供するゲームを作るには、お祓いが逆に恐怖感を損なうものと認識していた…

山

山の神様との約束

奄美大島には古来から「ケンムン」という妖怪が存在すると言い伝えられています。ケンムンは子供のような小さな背丈で、毛むくじゃらの体に山羊のような臭いがするとされており、頭には特徴的な皿…