廃墟でサバゲー

HDR00001_2_3_4

夏の終わりの頃の話。

その日は会社の夏休み最終日ということもあり、仲の良い8人を集め地元の廃墟でサバゲーをすることにしたんだ。

午前中に集まって、とことんゲームをしようと決めていたんだが、Yという奴が「午後からが良い」と言うので、みんなで午後に集まって行く事にしたんだ。

みんなで午後14時くらいに集まって、着いたのが14時半くらいだったんだ。

それでみんな準備を済ませ、取り敢えず様子を見に全員で中に入ったのさ。

みんなで「なかなかいいねぇ」とか言いながら中を探って行ったんだ。

この廃墟は二年くらい前は何かの研究所みたいなものだったらしく、至るところが理科室のような雰囲気だった。

意外と広くて三階ぐらいまであったんだが、最上階の一番隅のところに、音楽室の扉みたいな重くて厚そうな扉があったんだ。

みんな少し興奮気味だったこともあってか扉を開けようとしたけど、誰がやっても開かない。

全員でやっても開かないというので、諦めて表の荷物が置いてあるところまで戻り、チームを決めて早速ゲームしようってことになったんだ。

昼間のうちのゲームは結構蒸していて、アンチフォグを付けたゴーグルも役に立たないくらいだったんだが、さすがに夏も終わりということもあって夕方19時くらいになると大分涼しくなってきた。

随分やりやすくなってきたんだが、さすがにぶっ続けでやると疲れてきたので、ゲームが終わった頃に俺がもうやめようと提案したんだが、見事に全員に反対された。

しかし、みんな疲れたらしく晩飯を食ったら最後の一回をやろうという事になったんだ。

そしてコンビニで晩飯を買い、荷物のところでみんなで食っていたんだが、やはりみんな疲れているみたいで、飯を食った後21時くらいまで誰も動こうとしなかったんだ。

だがそれでは埒が明かないということで、最後のチーム決めをして、裏側と表側に分かれてゲームを始めたんだ。

夏でもさすがに21時だと暗くて、ライトを使ってゲームをしていたんだ。

まあ、みんな最後のゲームということもあって、フル装備の気合満々でどんどん部屋を攻略して行ったんだ。

それで二階に向かおうと階段を上っていた時、後ろから「うあぁ!!」という叫び声と同時に、階段から誰か転げ落ちる音が聞こえてきた。

振り返ったらYが見事に階段を落ちたらしく、踊り場で足を抱えながら転がっていた。

Yはいつも私服ゲーマーなのであまりブーツを履く習慣がなく、その時もスニーカーでやっていたんだが、それが裏目に出たようで足が良くない方向に曲がっていた。

俺達は焦ったが、一応骨折のようなので、ハンドガンとバンダナで固定し、Yを落ち着かせた。

そして次にOという仲間に無線の非常用周波で呼びかけたんだが通じない…。

全員で試したが誰も通じない。

ノイズが入っているとかそういうのじゃなくて、本当に電池が入っていないような感じになっていた。

仕方がないのでその場で待機していると、どこからともなく音が聞こえてきた。

「グシャッグシャッ」という音。長靴の中に水を入れて歩くような音。

最初は向こうが来たのかと思ってみんな安堵していたが、どうも様子が違うんだ。何と言うか足取りの重そうな感じがしたんだ。

それでみんなで顔を見合わせて、知らない他人だったらまずいのでみんなライトを消し、息を殺して固まっていた。

それから一分くらい経ったけど、段々音が近づいて来るだけで、逆に恐怖心が湧いてきたんだ。

そしたらいきなり、建物の奥から「ぎゃぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!」という凄い叫び声が響いてきて、同時に走る音が聞こえたんだ。

もう恐怖心が半端じゃなかった俺たちは、その声に驚いて「やばいんじゃね?」的な感じになり、逃げようということになった。

幸い足音は階上から聞こえてきていて、俺は銃を置いたままYを背負って走り、表に向かった。

他の仲間は全力で走っているようで、Yを担いでいる俺はどんどん離れて行った。

「早くしろ!!」とか耳元で叫ぶYの声が聞こえなくなるくらい全力で走った。

表に辿り着いた頃には、二人はもう荷物を適当に詰め込んで逃げる準備をしていた。

そしたらいきなり携帯に電話がきて、出たら向かいチームのSだった。

「お前らいまどこにいるんだよ!」と完全にパニクッた感じの声だった。

「表にいる」と答えたら、

「荷物持って国道まで出てこい!」と言われ、全員分の荷物を持ち国道に出たんだ。

その後、向こうの四人と合流し、落ち着いて話をしたんだ。そしたら…、

・何かが三階の隅の部屋にいた

・色んなところから足音が聞こえてきてパニックになった

・するといきなり、扉が開いたのでビビって逃げてきた

ということらしい。

俺たちも足音について話したが、四人は同じ足音だと答えた。

その後はYを病院に送り、未婚の奴は一人でいるのが怖いので、俺の家で一晩を過ごした。

翌日から会社だったので仕事に行ったが、Sが会社に来ていなかった。

Sの嫁さんに聞いたが、昨晩から部屋から出てこないらしい。

数ヵ月後、Yが退院した頃にSは死んだ。

自殺だった。理由はよく判らないが、仲間内ではあの一件が原因だったとされている。

その後、この話は無かったことになっている。ちなみに置いて行った銃もそのままである。

関連記事

少女

霊感を持つ女

霊感がある知人の話。彼女曰く、霊感というのは遺伝的なものらしい。彼女の母方の家系では、稀に霊感を持つ女が生まれるのだと言う。彼女が子供の頃の事、母方の祖父の初盆で本家に…

ホテルの部屋(フリー写真)

有名な幽霊ホテル

知り合いの女性から聞いた話。道後温泉の奥手にあるO道後温泉。幽霊が出るホテルがあることで、とても有名な場所。そこのK館の50X号室に、彼女ともう一人の女性が泊まることに…

林道(フリー写真)

姥捨て山

俺の兄貴が小学生の頃、まだ俺が生まれる前に体験した話。兄貴が小学5年生の春頃、おじいちゃんと一緒に近くの山へ山菜採りに入った。狙っていたのはタラという植物の芽で、幹に棘…

廊下(フリー写真)

放課後の部室で

うちの高校の演劇部の部室での事。私は当時、演劇部の部長だったので、一人で遅くまで部室に居る事があった。ある日、いつものように部室に残っていたら、ふと人の気配を感じた。 …

小さな手

学校に付き物の怪談ですが、表に出ない怪談もあるのです。わたしが転勤した学校での話です。美術を教えているわたしは、作家活動として自ら油絵も描いていました。住まいは…

学校(フリー写真)

霊感教師と霊感生徒

俺の母は小学校の教師をしている。霊感があり、赴任先によっては肉体的にかなりキツかったらしい。 ※ 10年前に4年生のクラスを担任した時、かなりの霊感を持つ女生徒Aと出会った…

アパート(フリー写真)

暗い部屋

大学2年生の冬、住んでいたアパートの契約が切れるところだったので心機一転、引越しをしようと部屋探しをしていた。不動産屋へ行き希望を伝えると、駅から近くて割と綺麗なマンションを紹…

水の中の女

今から20数年前、私がまだ高2の時の事だ。当時私は部活に励んでいて、その日は梅雨真っ只中。薄暗い夕暮れ時に、いつものように部活から帰っていた。私はその頃奇怪な体…

高架下(フリー写真)

夢で見た光景

数ヶ月前の出来事で、あまりにも怖かったので親しい友達にしか話していない話。ある明け方に、同じ夢を二度見たんです。街で『知り合いかな?』と思う人を見かけて、暇だからと後を…

夜の住宅街(フリー素材)

屋根の上の女

今年の夏の体験。私の家は山の上の方にある。夜、喉が渇いたので飲み物を買おうと、500メートルほど坂を下った所にあるコンビニへ行くため自転車に乗った。私の家からコ…