某宗教団体

公開日: 怖い話

art-woman-wave-livinmynovels-815872

某宗教団体(J・W)で、伝説的になっている話をひとつ書き込みます。

ある姉妹(その教団内ではバプテスマ=洗礼を受けた女性をこう呼びます)が、王国会館(集会を開く場所)の周りで草刈をしていた時のことです。

彼女の他にも数人の信者が外で同様に草刈をしていたのですが、たまたま彼女は一人、みんなとは少し離れたところで雑草を刈り込んでいました。

腰を屈め、軍手をはめた手で次々と、小さな草は引き抜き、大きく根の張ったものは鎌で刈り込んでいきます。

その王国会館の周りは畑と空き地に囲まれていて、彼女は空き地との境、草が密集しているところまできていました。

仲間の信者とはかなり離れてしまったようで、かすかに遠くの方から声が聞こえる程度です。

額に滲む汗を感じ、一息入れようと屈めていた腰を伸ばそうと思った時、突然笑い声が聞こえました。周りには誰一人いません。

首に巻いていた手ぬぐいで額の汗をふき取りながら、何処から声がするのか耳を傾けると、自分のすぐ前方、鬱蒼と生い茂る草むらから聞こえてきます。

しかも、近くの、目の前にある緑の草の葉が笑っているようでした。唾を飲みながらも、目を凝らして目の前の草を見つめると、本当に草の葉が笑い声を上げていました。

葉がゆらゆら揺れながら笑い声を上げているのです。

驚き戸惑いながらもこれは悪霊の仕業に違いない、そう思い、日ごろから自分の信仰を過信する傾向のあった彼女は、笑い声を上げる草の葉に向かって「そんな処で笑っているくらい暇なら、私の肩でも揉んでくれないかしら、草刈ですっかりこってしまっているの」と言い放ったのです。

すると、彼女が全ての言葉を言い終えるや否や、目の前の笑い声が瞬時に消え、今度は誰もいないはずの彼女の後ろから笑い声が現れ、次の瞬間には、彼女の肩が信じられないほど力で抑えつけられます。凄まじい音とともに彼女は両肩の骨を砕き折られました。

関連記事

雪に覆われた山(フリー写真)

雪を踏む足音

初雪の山は登ってはいけない。 そういう話を仲間内でよく聞いていたが、単に滑りやすくなるからだろうと軽く捉えていた知り合いは、命の危険に晒された。 彼は登山歴3年くらいの経験…

教授のメモ

ある大学の教授が突然、姿をくらませた。 教授と同じ研究室の助手は、最初は旅行にでも行ったのだろうと考えたが、大学側に問い合わせても教授の行方は判らないと言う。 助手はどうし…

運が良いね

今から話すお話は3年前、僕がまだ高校2年生だった時の話です。 その頃、僕はとあるコンビニでバイトをしていました。そのバイト先には同い年の女の子と、50過ぎくらいの店長、あと4人程…

竹林(フリー写真)

有刺鉄線の向こう側

小学生の時の記憶。 私の育った町には昔、林があった。 ただその林は少し変わっていて、林の中に入って途中まで行くと、ある部分を境に突然竹林に変わっている部分があった。 …

神秘的な山

神隠しの山と消えた一家

平成14年9月7日、広島県世羅町京丸の名所「京丸ダム」にて、ある通行人が湖底に沈む車を目撃。警察へと通報が成された。 湖底から引き上げられた車の中からは、四人の遺体が発見される…

公衆電話

公衆電話が呼ぶ

突然だが、僕は電話が苦手だ。 それは電話が面倒だとか、メールの方が楽だとかそういうことではない。 電話が掛かってくる度にギュウッと心臓が掴まれたようになる。 ※ とある…

山道

窓側を見てはいけない

ある夜、会社員のAさんは残業で遅くなり、タクシーを拾いました。タクシー内では運転手さんと様々な話題で盛り上がっていました。やがて、タクシーは山の中の暗い道を走り始めました。周囲はうっ…

みさきとおばあちゃん

朝起きて家の前でタバコをふかしていると、隣に住んでるAさんに声をかけられた。 「○○ちゃん(私の名前)、頼みたい事があるんだけど……。 ちょっと、みさき(Aさんの娘さん、小…

お婆ちゃんの手(フリー写真)

連れて行かれる

私が小学生の頃の話です。 小さい頃にお世話になった近所のお婆ちゃんが倒れて、寝たきりになってしまいました。 一人暮らしで、親族も居なかったようです。 当時、よく古い遊…

山(フリー写真)

山の物の怪

うちの爺さんは若い頃、当時では珍しいバイク乗りだった。 裕福だった両親からの何不自由ない援助のおかげで、燃費の悪い輸入物のバイクを暇さえあれば乗り回していたそうな。 ※ ある…