橋に置いていく
解体予定の古い吊り橋を取材した日のこと。同行のカメラマンが車に戻ってから様子がおかしくなり、彼は私に足元を見てくれと言った。…
解体予定の古い吊り橋を取材した日のこと。同行のカメラマンが車に戻ってから様子がおかしくなり、彼は私に足元を見てくれと言った。…
県北の閉じた商店街で、唯一灯りが点いていた古い時計店。すべての振り子が同じ時刻で止まっていた。仕事を終えて知らされた事実は、その店は十年前にもう存在しないという…
母の入院見舞いで帰省した北陸の町。シャッター街になった商店街の奥に、子供の頃に通った手芸店の灯りがまだ残っていた。そこにいたのは、五年前に亡くなったはずのおばあ…
離島の調査で訪れた禁足地の入り江。島民が「ウミナリ」と呼ぶその場所で、研究者は二時間半の記憶を失う。手に残った青い痣と、百キロ先でも聞こえる海鳴りの音。…
ある日から音が三秒だけ早く聞こえるようになった塾講師。電話、チャイム、やがて人の声まで。ずれは日に日に広がり、やがて聞こえてはいけないものまで届き始める。…