ブナの尾根を下りる片目様
昭和四十九年の晩秋、奥羽のブナ山で国有林の境界を調べていた見習いの私は、老いた杣から「北の一つ目の尾根を見るな」と告げられる。額に縦の目をもつ片目様に魅入られた…
昭和四十九年の晩秋、奥羽のブナ山で国有林の境界を調べていた見習いの私は、老いた杣から「北の一つ目の尾根を見るな」と告げられる。額に縦の目をもつ片目様に魅入られた…
昭和の山奥、ダム工事の飯場で働いていた二十歳の夏のことだ。決まりを破って入った夜の裏山で、御神木に古釘を打ちつける女を見てしまった。危険な好奇心が招いた取り返し…
平成六年の夏、岐阜の乗鞍の麓にある古いヒュッテで、山岳部の後輩が霧に巻かれたまま戻りませんでした。その晩、暗い廊下に立っていた後輩に、私はザックの底のことを頼ま…