不思議な森

mysteries_of_the_forest_by_mavigozlum-d60iywt

昔住んでた家の近くの河川敷に広い公園があり、そこに小さな森があった。その森の中には、異常に暗い空間が何カ所かあって、よくそこで遊んでた。

もう少し説明すると、その空間だけ切り取ったように暗くなっている。木々に光が遮られてるとかじゃなくて、そのスペースだけとにかく、塗りつぶしたような黒って感じではないけど暗い。大きさは仮設トイレくらいじゃないかな。

変な場所で、時間の流れが異様に速かったり、そこに入ると回りから存在が掻き消えちゃうような感じ。だからかくれんぼとかではそこは使わないルールになってた。

子供ながらに不思議に思ったけど、秘密の場所みたいな感じで子どもたちだけが知ってた。

その空間は増えたり減ったりもしてた。いつもより暗くないなって感じた三日後くらいには無くなってたりした。そのかわりに別の場所にできてたりするんだけど、あの森の中にしか発生しなかった。

数は多分一定で、四つか五つだったと思う。足元はふかふかというかグニャグニャしてて周りとは感触が違ってたのを覚えてる。

あれが何だったのかな。今もあるのかは知らないけど、変なものもあるんだなと思ったよ。

関連記事

商店街

異界の午後

これは私が8歳の頃に体験した不思議な話です。 私の家は商店街の魚屋で、年中無休で営業していました。 ある日、目覚めると家には誰もいませんでした。店も開いており、通常ならば…

山祭り

久しぶりに休みが取れた。たった2日だけど、携帯で探される事も多分ないだろう。 ボーナスも出た事だし、母に何か美味いものでも食わせてやろう。 そう思って、京都・貴船の旅館へ電…

山道

お遍路さんの道標

俺は九州出身なのだが、大学は四国へ進学した。以下はゼミの先輩から聞いた話だ。 四国と言えば八十八ヶ所霊場巡りが有名だが、昔は大変だったお遍路も今では道が整備され、道標も各所にあり…

幽霊船

これは、もう亡くなった曾祖父に聞いたお話です。 曾祖父が亡くなる数ヶ月前、どうしたことか、親戚を集めて色々な話を聞かせてくれたのです。 私の実家は鹿児島県のとある離島なんで…

すたか駅

消えた駅『すたか』と提灯の山

それは、ある晩のことだった。 京都駅からJR線に乗り、長岡京へ向かっていた私は、仕事疲れもあってか、ついウトウトと居眠りしてしまった。 気づいたときには、電車はすでに見知…

異なった世界のスイッチ

アサガオが咲いていたから、夏の事だったと思う。 私は5歳で、庭の砂場で一人で遊んでいた。 ふと顔を上げると、生け垣の向こうに着物姿の見知らぬお婆さんがニコニコして立っている…

抽象画(フリー素材)

同じ夢を見る

小学校3年生の頃、夢の中でこれは夢だと気が付いた。 何度か経験していたので、自分の場合は首に力を入れるイメージをすると夢から覚められると知っていた。 しかしその時は何となく…

夜の駅(フリー素材)

地図に無い駅

その日、彼は疲れていました。 遅くまで残業をし、電車で帰る途中でした。 既にいつも使っている快速は無く、普通電車で帰るしかありませんでした。 その為いつもよりも電車で…

田舎の夏

夏の約束

夏が近づくと、ふと思い出すことがある。 中学生だったある夏の日、私は不思議な体験をした。 当時、世間の同世代が夏休みを謳歌する中、私はサッカー部の一員として遠征続きの毎日…

もう5、6年前かな?確か秋も過ぎて12月だかそんくらいの時期。 前日に早く寝たから、その日はやたらと早く目が覚めたのよ。 だいたい日の出の直後くらいだったと思う。起きたとい…