霧島、消えた駅

トンネル

これは一昨日の夜に体験した出来事です。私はいつも通り、都会から田舎の自宅へ帰るために最終電車に乗りました。この日は友人と遅くまで飲んでいたため、21時頃には出るはずが大幅に遅れ、埼玉県の飯能駅から23時過ぎに出発する電車に飛び乗りました。

私の目的地は西武秩父駅で、通常は始発から終点まで約一時間かかります。この夜もアルコールと戦いながら、早く着かないかと願っていました。

電車は半分の距離を走った頃、予期せずトンネルに入りました。普段乗る特急ではよく寝てしまうため、このトンネルが新しく感じられ「こんなところにトンネルがあったっけ?」と不思議に思いました。後で調べても、その場所にトンネルが存在することは確認できませんでした。

トンネルを抜けると、周囲は霧に覆われていました。一昨日は朝に小雨が降っており、気温も低かったため、これが霧の原因だと思いました。しかし、霧の中を進むにつれて、普段5分おきの駅が現れないことに気づきました。通常、東吾野、吾野、西吾野と続くはずですが、一向に駅に着く気配がありませんでした。

気がつくと、電車は予定外の停車をしました。特にアナウンスもなく、ドアが静かに開きました。深夜でありながら外はオレンジ色の光に照らされていて、どうやら駅に停まっているようでした。しかし、こんな時間にドアが開くことに戸惑い、何もせずただ待っていました。

ドアが閉まり、再び電車が動き出すと、私は窓から外を確認しました。そこには「霧島」と書かれた駅の看板が見えたのです。これには非常に驚きました。なぜなら、霧島は鹿児島にしか存在しないからです。さらに、電車は再びトンネルを抜け、ほどなくして普通に吾野駅に到着しました。

この出来事はとても不思議で、帰宅してからも疑問に思い、調べてみましたが、答えは見つかりませんでした。これが現実だったのか、それとも何らかの幻だったのか、今でもはっきりとはわかりません。


note 開設のお知らせ

いつも当ブログをご愛読いただき、誠にありがとうございます。
今後もこちらでの更新は続けてまいりますが、note では、より頻度高く記事を投稿しております。

同じテーマの別エピソードも掲載しておりますので、併せてご覧いただけますと幸いです。

怖い話・異世界に行った話・都市伝説まとめ - ミステリー | note

最新情報は ミステリー公式 X アカウント にて随時発信しております。ぜひフォローいただけますと幸いです。

関連記事

公園(フリー背景素材)

七人の神様

結婚してすぐ夫の転勤で北海道へ引っ越した。 知り合いも居らず、気持ちが沈んだ状態でいたある日のこと。 何となく友達の言っていた話を思い出し、それを反芻しながら道を歩いてい…

携帯電話(フリー素材)

携帯にまつわる話

俺の携帯の番号は「080-xxxx-xxxx」という『080』から始まる番号です。 でも、機種変してすぐは「090-xxxx-xxxx」だと思っていて、彼女にもその『090』から…

神社の奥の光

俺、弓道やってるのね。その道場への行き道の途中を曲がると鳥居があるのよ。多分奥に神社があるんだろうけど見えてるのは鳥居だけ。で、鳥居の一直線上には暗いと何も見えないわけ。多分神社は一直…

枕(フリー写真)

槍を持った小人

最近の話。 俺の家は四人家族で、いつもカミさんと上の子、一歳の下の子と俺が一緒に寝ているのだけど、この下の子がよくベッドから落ちる。 俺も気を付けて抱っこしながら寝たりする…

コツコツ

つい先日の事なんだけど、俺は出張で松江にある某有名チェーンのビジネスホテルに泊まったんだ。 その日は取引先との接待でスナックを3件ハシゴして、へべれけ状態でホテルに入ったんだわ。…

古民家(フリー写真)

木彫りの仏様

母方の祖母が倒れたという電話があり、家族で帰省した時の話です。 祖母は倒れた日の数日後、うちに遊びに来る予定でした(遠方に住んでいるため滅多に来ません)。 その遊びに来るこ…

夜の病室

ハセベさん

小学1年生の時に病気で入院し、夜中に病棟で毎晩のように泣いていた。 泣き始めるとすぐに看護婦さんが来てくれて、寝つくまで一緒に居てくれた。 ハセベさんという看護婦さんで、…

犬(フリーイラスト)

じじ犬との会話

ウチのじじ犬オンリーだけど、俺は夢で犬と会話できるっぽい。 じじ犬と同じ部屋で寝ていると、大抵じじ犬と喋っている気がする。 「若いの、女はまだ出来んのか?」 「うるさ…

オオカミ様のお堂(宮大工1)

俺が宮大工見習いをしてた時の話。 大分仕事を覚えてきた時、普段は誰も居ない山奥の古神社の修繕をする仕事が入った。 だが親方や兄弟子は同時期に入ってきた地元の大神社の修繕で手…

街のショップ

開かない自動ドア

大学二年生の夏休みが近づいた頃、私に不思議なことが起こり始めた。 突如、コンビニやスーパーなどの自動ドアが私に反応しなくなったのだ。 以前は普通に使えていたコンビニの自動…