異界の部屋

アパートのドア(フリー写真)

当時はアパートに住んでいて、その頃に体験した不思議な話。

母ちゃんに頼まれ、回覧板を他の部屋に渡しに行った。

さっさとドアのポストに回覧板を入れ、自分の部屋に帰って行ったのだが、ドアを開けてみるとそこは明らかに我が家ではない部屋だった。

しかし部屋の番号を確かめてみると、やはり自分の部屋。

でも少し心配だったので、念のため「こんばんはー」と言ってみた。

すると見知らぬボサボサ頭のおじさんが当たり前のように「はーい」と出て来た。

驚いて「間違えましたー」と言いドアを閉めたのだけど、改めて番号を確かめてみたらやはり間違いなく自分の部屋。

書いてある苗字も自分の苗字。隣の部屋も自分の部屋のお隣さんと同じ。

『あれぇ?』と思い、再びそっとドアを開けてみたら、我が家の風景に戻っていた。

ボサボサ頭のおじさんも居なかった。

あれが18年生きていて唯一の不思議体験だな。

関連記事

更衣室のドアノブ

私は初等教育学科で勉強していて、この科は文字通り小学校教諭を目指す人たちが専攻しています。 授業の中には『学校給食』やら『体育』やらといったものもあって、私は体育が苦手でした。 …

餓鬼魂

もう30年程前になるか、自分が小学生の頃の話。 当時の千葉県は鉄道や主要街道から少し奥に入ると、普通に林が広がっていた。 市内にはそう広くない林が点在し、しかも民家から距離…

古書店の本棚(フリー写真)

客寄せ仔猫

伯父の高校時代に、伯父が好きだった娘がいた。 高校卒業後は、偶に同窓会で顔を合わせる程度の付き合いだった。 しかし数年経って、その娘が親の勧める縁談を受けて結婚し、夫の仕…

枕(フリー写真)

槍を持った小人

最近の話。 俺の家は四人家族で、いつもカミさんと上の子、一歳の下の子と俺が一緒に寝ているのだけど、この下の子がよくベッドから落ちる。 俺も気を付けて抱っこしながら寝たりする…

黄泉の国の体験

同窓会の案内が来て、中学生だった当時を懐かしんでいたら思い出したことがある。 この間の夜、ふと目が覚めると目の前に血を流した女の人がいた。 寝ぼけていたし起こされてムカつい…

地底世界

小学校2年生の頃の話。 山に囲まれた田舎に住んでいたんだけど、学校の帰り道で知らないおじさんとおばさんが俺に話しかけてきた。 知らない人には付いて行ってはいけないと言われて…

封じ(長編)

アパートに帰り着くと郵便受けに手紙が入っていた。色気のない茶封筒に墨字。間違いない泰俊(やすとし)からだ。 奴からの手紙もこれで30通になる。今回少し間が空いたので心配したが元気…

命の大切さ

つい最近の出来事です。 職場で色々あって、自殺未遂しちゃったのね。 それで気分転換のため田舎に帰省したんだ。もちろん自殺未遂のことは秘密にして。 すると、信心深いばあ…

階段の角

当時俺が小3、弟が5才ぐらいだったかな。 そのとき一軒家に住んでて、弟と両親が一階、俺一人が二階で寝てたんだ。 家が古いせいか、かなり家鳴りみたいなのがするんだよ。ガキだっ…

山

山の神社と巫女の幽霊

これは5年前の話です。当時の私は浮浪者で、東京の中央公園での縄張り争いに敗れ、各地を転々とした後、近畿地方の山中の神社の廃墟に住むようになりました。 麓へ下り、何でも屋として里…