本に挟まったメモ

公開日: 不思議な体験

図書室(フリー写真)

高校3年生の時の話。

図書館で本を借りたら、本の中に

『こんにちわ』

と書かれたメモが入っていた。

次の週にまた別の本を借りたら、

『こんにちわ。このまえのよんでくれましたか』

と書かれたメモが入っていた。

それから一週間に一回くらいのペースで、私の借りた本の中にメモが入っていた。

そこには『こんにちわ』から始まって、私がやったことが書かれていた。

『こんにちわ、こぶんのじかんねちゃだめだよ』

という感じで。

私の直前に借りた人は毎回違うし、他の人にこのメモが入っていたという話は聞かない。

一応借りる前に、パラパラページを捲ってメモがないかチェックしていたが、いつの間にか挟まっている。

同じ学校の人がやっているのかと思ったが、学校以外で学校の人が周りに居ない時に起こったことも書かれていた。

三ヶ月くらい経ち、いい加減怖くなり友達に相談をした。

友達は、返事を書いてみたらどうかと言う。

それで私は、

『こんにちわ。いつもお手紙ありがとう。

でも、私もうすぐ卒業だからもう手紙読めないんだ。

ごめんね。さようなら』

と書き、本を返却する時に挟んでおいた。

次に本を借りた時、またメモが入っていた。

そこには、

『わかった。ばいばい』

と書かれていた。

それからメモが挟まっていることはなくなった。

関連記事

青空

迷い込んだ保育園

これは、私が保育園に通っていた頃の話です。 私が住んでいた町には「第一保育園」から「第三保育園」まであり、私は「第一保育園」に通っていました。 ある夏の日、合同でお遊戯会…

機関車(フリー写真)

電車の幽霊

埼玉の三郷に操車場跡という所があります。地図にも載っています。 心霊スポットとしては途中のお化けトンネル(化けトン)が有名ですが、体験したのはその近くの建物です。 操車場は…

普通の子に戻れた日

小さい頃、私は知的障碍を持っていると思われていました。 言葉や文字に対する遅れは見られませんでしたが、コミュニケーション能力が欠けているとしか思えない様子だったそうです。 …

インフルエンザウィルス(フリー素材)

高熱とアリス症候群

去年の年末、俺がインフルエンザで倒れていた時の話。 42度という人生最高の体温で、意識もあるのか無いのか分からない状態で俺は寝ていたのだが、尿意に襲われてふらふらと立ち上がった。…

じいちゃんの話(長編)

これは俺が10年以上前に体験した話。 当時、俺は田舎にある実家に住んでいた。 実家は古くから立つ日本家屋ではあったが、辺り一面に田んぼがあるほどのド田舎という以外は、ごく普…

田舎の風景

白ん坊

このお話の舞台は詳しく言えないけれど、私の父の実家がある場所にまつわるお話。 父の実家はとにかくドが付く程の田舎。集落には両手で数えきれる程しか家がない。 山奥なので土地だ…

二人だけの水族館

俺はじいちゃんが大好きだった。 初孫だったこともあって、じいちゃんも凄く俺を大事にしてくれた。 俺はあまりおねだりが得意な方じゃなかったけど、色々な物を買ってくれた。 …

高架下(フリー写真)

夢で見た光景

数ヶ月前の出来事で、あまりにも怖かったので親しい友達にしか話していない話。 ある明け方に、同じ夢を二度見たんです。 街で『知り合いかな?』と思う人を見かけて、暇だからと後を…

異世界での体験談(長編)

異世界とか霊界とか、信じる信じないではなく、当たり前にあるものだと思って生きてきました。 死んだおじいちゃんが出雲大社で修行していて、祈祷師のような事もやっていたから。 家…

無限ループするトンネルと祭り

休日の夕方に友人連れ3人で、温泉宿に向かう山道を車で走っていた。 車の持主が運転、もう一人は後部座席、俺が地図を見ていた。 地図上では一本道で、トンネルを3つ通らないといけ…