あの世の記憶

天国(フリー画像)

数年前に私は不思議な体験をしました。

家族旅行でキャンプに行った時のことです。

弟と二人でキャンプ場から少し離れた林の奥で遊んでいると、いつの間にか弟とはぐれてしまい、慌てて探しに行こうと辺りを見渡すと真っ赤な一輪の花が視界に入りました。

私は花にあまり詳しくないので何の花かは正直分からなかったのですが、その花を見た瞬間に頭の中に記憶のようなものが一気に流れてきたのです。

その記憶というのは…生まれてくる直前のことのようでした。

私は小さな子供で、雲の上の子供が沢山居る街に住んでいるようでした。

いつも隣に男の子が居たのですが、直感で弟だと解りました。

大人のような人に「もうすぐあっちに行くんだよ、だから準備しなさい」と言われ、お母さんを誰にするかを決めました。

男の子も私と同じお母さんが良いと言ったので、「じゃあ、先に行くね」と告げました。

真っ暗なトンネルのような穴の前に子供達が並んでいて、そこで記憶を消すようです。

私は記憶を消すのが嫌だとだだをこねた覚えがあります。

私はそのままトンネルの中に飛び込びました。

断片的にしか覚えていないので完璧には分かりませんが、これは前世ではなくあの世だと思います。

後に弟と合流し、父と母にこのことを話しても信じてもらえませんでした。

あの真っ赤な花が何なのか…何か関係しているのか今でも謎です。

気になって色々調べてみると、小さな頃に私のような記憶がある子供は結構居るみたいです。

でもそれは6歳くらいまでしか覚えていないようです。大人になっても覚えている人も居るみたいですが…。

私は小さな頃は覚えておらず、中学生で思い出したので、それも不思議で仕方ありません。

この体験は一体何だったのでしょうか?

関連記事

消えた駅

消えた駅と、もうひとつの世界

よく「時空を超えた」とか、「少し違う世界を垣間見た」なんて体験談を目にしますが、実は私にも似たような経験があります。 というより、今なお、その“続き”の中にいるのかもしれません…

忌箱(長編)

これは高校3年の時の話。 俺の住んでた地方は田舎で、遊び場がなかったんで近所の廃神社が遊び場というか、溜まり場になってたんだよね。 そこへはいつも多い時は7人、少ない時は3…

裏世界

裏世界への通路

これは、私が小学5年生だった頃に体験した、今でも忘れられない奇妙な記憶である。 夏休みのある日、私は自宅の裏にある大きなグラウンドで、自由研究として「身近にいる昆虫リスト」を作…

金縛り中の他者的視点

以前、一度だけどうにも奇妙な体験をしたことがある。 金縛りというものは多くの人が経験してると思うが、あれは脳の錯覚だ。 本当は寝ているだけなのに、起きていると脳が勘違いをし…

ふたりの母

ふたりの母 — 扉の向こうと現実のあわいで

これは、私がまだ小学校に上がる前の、夏の終わりに体験した不思議な話です。 ※ その日、私は母方の祖父母が住む田舎の家で、昼寝をしていました。 何度も訪れていたはずの…

海(フリー写真)

海ボウズ

俺の爺ちゃんの話。 爺ちゃんは物心が付く頃には船に乗っていたという、生粋の漁師だった。 長年海で暮らしてきた爺ちゃんは、海の素晴らしさ、それと同じくらいの怖さを、よく寝物語…

女性のシルエット(フリー素材)

イトウ

高校から現在にかけて、俺の周りをウロチョロする謎の同級生がいる。 高一の時に言われたのが一番最初。夏休み明け直後の日だったのだが、いきなりクラスの奴に 「イトウって知ってる…

帰り道

足が欲しい

大学時代、一つ上の先輩から聞いた話。 小学4年生の頃、学校からの帰り道にいつも脇道から出てくる中年の男性がいた。 しかも常に彼女がその脇道を通りかかる時に出てきて、ぼんやり…

コツコツ

つい先日の事なんだけど、俺は出張で松江にある某有名チェーンのビジネスホテルに泊まったんだ。 その日は取引先との接待でスナックを3件ハシゴして、へべれけ状態でホテルに入ったんだわ。…

廃屋の窓(フリー写真)

半分の家

じいちゃんから聞いた話。 従軍中、幾つか怪談を聞いたそうだ。その中の一つの話で、真偽は不明。 ※ 大陸でのこと。 ある部隊が野営することになった。 宿営地から少し…