レッカーの仕事

高速道路(フリー写真)

私は運送の仕事をしていまして、主に牽引の仕事を回されます。

交代制で日勤と夜勤を月毎にやるのですが、夜勤の時は大体仕事が決まります。

故障、もしくは事故で自走出来ない車のレッカーですね。

うちの社長は警察にコネがあるのか知りませんが、結構な頻度で警察がらみのレッカー要請が来ます。

日勤は警察以外の仕事や路駐、故障がメインですが、夜勤は大抵事故車両です。

さて、つい先日ですが、かなりの事故で自走出来ない車のレッカー要請がありました。

内容を話すと身バレしそうなので詳しくは話せませんが、まあ死亡事故です。

フロントは見事にペチャンコ。シートは血だらけ。見た瞬間に『うへぇぇ』という感じでした。

しかも運ぶよう指示された場所が意外で、死体検案所の裏の倉庫でした…。普通は鑑識の倉庫かスクラップ場なのですが。

変に思ったので確認したら、担当のお巡りさんが「下半身が千切れていて、ここじゃ撮れないから」と。

『帰っていいですか?』という感じでしたが、仕事ですから仕方が無い。

ところが、これがあまりに酷い潰れ方なので、クレーンが掛かる場所が無いんですよ。

変な所に掛けると、掛けた所が折れたりパーツが外れて途中で落としたりします。

それで少し持ち上げて探したら助手席の下に穴が空いていたので、割れたフロントガラスからワイヤーを通してガッチリ固定しました。

後ろは無事そうだったので、地面に付けたまま自走させることにしました。

下のアスファルト、血の海でしたよ。

作業中にその千切れた下半身が見えなかったのが幸いでしたね。

そんなこんなで出発したのですが、走り出して10分くらい経った頃でしょうか。

何か後ろが騒がしいんですよ。

騒がしいと言っても声がするなどではなく、何かが暴れている感じです。

車も揺れて振動が伝わって来るんですよね。

とても嫌な予感はしましたが、一応次の信号待ちで確認しようと思い、信号が赤になった瞬間に降りてみました(緊急に停車させる時は会社に連絡して許可を取らないといけないので面倒だから)。

周りを見ても特に異常無し…と思った時、ドンドンというかゴンゴンというか、事故車の中から音がしました。

『何かパーツが外れたかな?』と思い覗いたのですが、よく分かりません。

それで下に頭を突っ込んで見たら、千切れた下半身の足がバタバタ動いていました。

びっくりして頭をぶつけるし、青になって後続車両にクラクションを鳴らされるし、もうパニックですよ。

取り敢えず震えながらも運転席に戻り走り出したものの、相変わらずゴンゴン音が聞こえてきます。

『死後硬直?』とも思いましたが、いくら何でもあんなにバタバタ動かないでしょう。

走ったり泳いだりしているような動きですよ。痛くてもがいているのか…。

指定された倉庫に着く頃には音は止みましたが、幻覚や夢ではないのは確かです。

出て来た解体業者や鑑識の人に引き渡して書類にサインを貰う時、サインしてくれた鑑識の人にさっきのことを話してみたら、

「偶にある。あまり気にしない方がいいよ」

とサラッと言われました。

レッカーの仕事では他にも幾つかこのような怖い話を体験しています。

あまり恐くはないかもしれませんが、本人的には洒落怖な出来事でした。

田舎の上空写真(フリー画像)

小鳥子象

子供の頃に体験した不思議な話を投稿させてもらいます。 幼少の頃の記憶が元になっているので、あやふやなところもあるけどそこはご勘弁を。長いので幾つかに分けます。 ※ まず話は俺…

山

土着信仰

俺の親の実家の墓には、明治以前の遺骨が入っていない。 何故かと言うと、その実家がある山奥の集落には独自の土着信仰があり、なかなか仏教が定着しなかったから。明治まで寺という概念すら…

チャイムが鳴る

ある蒸し暑い夏の夕暮れ時、俺は自宅の2階で昼寝をしていた。 「ピンポ~ン、ピンポ~ン」 誰か来たようだ。俺以外家には誰もいないし、面倒くさいので無視して寝ていた。 「…

雪国(フリー写真)

無医村

爺ちゃんは当時、凄い田舎の山村に住んでいて、村にはあまり評判の良くない医者が一軒しかなかった。 ある時、爺ちゃんの知り合いの年配の男性が盲腸になり、仕方なくその医者に手術してもら…

焼かれた十円玉

一昨年まで東京の三鷹に住んでたけど、アパートの部屋に朝4時頃になると必ず誰か来て、郵便受けにバーナーかなんかで焼いた10円を入れられた。 最初気付いた時は3枚。 たいして気…

家宝の銅鏡

僕の家には家宝と呼ばれるお宝が三つある。 一つは家系図。約400年前まで遡る家系図は巻物数十巻に及び、勿体振った桐の箱に収められている。 もう一つは刀。かなり昔にご先祖様が…

山道(フリー素材)

上位の存在

厳密に言うと、この話は俺が「洒落にならない程怖い」と思った体験ではない。 俺の嫁が「洒落にならない程怖い」と思ったであろう話である。 俺の嫁は俗に言う視える人で、俺は全くの…

後悔

今日ここで、私が9年前から苦しめられ続けている後悔と恐怖の記憶を、この話を見た人にほんの少しづつ、持って行ってもらえれば良いなと思い、ここにこうして書かせてもらいます。 実際に何…

アパート

早く早く

かなり昔、私が小学校2、3年の頃の事です。 当時家族でアパートに住んでいたのですが、隣に新婚さん夫婦が引越して来ました。 彼等は二人とも小学校の教師という事で、とても優しく…

ハサミ

ハサミ女

近所に「ハサミ女」と呼ばれる頭のおかしい女がいた。 30歳前後で、髪は長くボサボサ、いつも何かを呟きながら笑っている、この手の人間の雛形的な存在。 呼び名の通り常に裁ちバサ…