避けられない未来
公開日: 怖い話 | 死ぬ程洒落にならない怖い話
都内のある高校に、ちょっとした怪談が流行った事がありました。
「校舎の横に植えてある手前から四番目のポプラの木を、夕暮れ時に見に行くと、
頭蓋骨が転がっている事があり、それを見た者は24時間以内に死ぬ」
というものでした。
怪談を本気で信じて寄りつかない生徒、面白がって見に行く生徒と生徒たち。
その反応は様々でしたが、実際に何度か見に行った生徒が何も見ていなかった事などから、
一ヶ月も経つと、もうそんな怪談はよくある噂話として忘れられていました。
※
そんなある日の事、野球部員のH君がポプラの木の方へ飛んで行ったボールを取りに行った時です。
ボールを取りに行って一分と経たない内に、H君は血相を変えてみんなの所へ戻って来ました。
先輩「どうしたH、ボール見つからないのか?」
H「それどころじゃないですよ、先輩!
頭蓋骨が…頭の割れた頭蓋骨が、ポプラの木の所に落ちてたんですよ!」
先輩「はあ? お前、何言ってるんだよ。大嘘ついてないで、さっさとボール捜して来い!」
H「違うんです、大嘘とかじゃなくて本当に…。
間違いありませんでした、頭蓋骨が落ちてたんですよ!
誰かが悪戯で偽者を置いたのか何だか判りませんけど、薄気味悪いから先生に言ってどかしてもらってくださいよ…」
先輩「おいおい、本当かよ。じゃあ俺から先生に言っとくからさ。
しかし、いるんだなあ、今どきそんな悪趣味な悪戯する奴…ってオイ一年!見に行こうとしてるんじゃねーよ!
くだらない悪戯なんか忘れて試合の続きだ!いいな!」
こうして、悪質な悪戯だという事で試合はすぐに再開されたのですが…。
※
その日の部活の帰り、H君は野球部顧問のS先生に呼び止められました。
S「おいH。お前、何のつもりだ? 先生をからかって楽しいのか」
H「な、何の事ですか!?」
S「とぼけるなよ、ポプラの木の下に頭蓋骨も、それっぽい置物も何もなかったぞ!
あれからすぐに見に行ったんだ。間違いない」
H「そんな…僕は確かに…」
S「言い訳は生活指導室で聞く。いいな!」
H君は先生の意見に真っ向から反論したせいで、長々と二十分も説教されました。
※
その日の帰り道、H君は事故に遭って亡くなりました。
スピード違反の乗用車に当て逃げされた後、後続のトラックに頭蓋骨を砕かれたそうです。
彼が見た頭蓋骨は、彼自身の避けられない未来を見せていたのでしょうか。