介護の闇

公開日: 怖い話 | 洒落にならない怖い話

dark_woman_by_blind_art

家には痴呆になった祖母がいる。

父方の祖母だが、痴呆になる前も後も母とは仲が良く、まめに面倒を見ている。

これは年末の深夜の話。

祖母の部屋から、何やらぼそぼそと呟く声が聞こえてくる。

時々祖母の独り言もあるけど、中から聞こえてきたのは明らかに祖母の声じゃない。

独り言とも違い、一定のテンポで押し殺したようにぼそぼそと呟いている感じ。

俺と祖母の部屋は一階の隣同士。気味が悪かったので足音を立てないよう静かに忍び寄ると、部屋の襖が空いている。

心臓がバクバクする中、細心の注意を払い部屋を覗くと

「しね、しね、しね」

と、枕元で呟いている母がいた。

死ぬ程怖かった。


note 開設のお知らせ

いつも当ブログをご愛読いただき、誠にありがとうございます。
今後もこちらでの更新は続けてまいりますが、note では、より頻度高く記事を投稿しております。

同じテーマの別エピソードも掲載しておりますので、併せてご覧いただけますと幸いです。

怖い話・異世界に行った話・都市伝説まとめ - ミステリー | note

最新情報は ミステリー公式 X アカウント にて随時発信しております。ぜひフォローいただけますと幸いです。

関連記事

おどって

一年くらい前に誰かがテレビで喋っていた話。 ある女の子が夢を見ていた。 夢の中で女の子は家の階段を登っている。 すると誰かに足を掴まれた。 振り向くと皺くちゃの…

放射能記号(フリー素材)

原発並み

以前、井戸の底のミニハウスと、学生時代の女友達Bに棲みついているモノの話を書いた者です。 当時、女友達Bの元彼氏(E)に聞いた小話を思い出したので投下します。 ※ 以下はこれ…

神隠しに遭う子

神隠しに遭う子

小さな頃、私は「知的障碍があるのでは」と思われていました。 言葉や文字に遅れはなく、読み書きも問題はありませんでした。 しかし、人と目を合わせない、会話ができない、約束が…

火傷の治療

昭和の初め頃、夕張のボタ山でのお話。 開拓民として本州から渡って来ていた炭鉱夫Aさんは、爆発事故に見舞われた。一命はとりとめたものの、全身火傷の重体だった。 昔の事とて、ろ…

田舎(フリー素材)

ワラズマ

子供の頃に変なものを見た。 遠縁で実際は血が繋がっていないんだけど親同士の仲が良いので、俺は夏休みになると毎年○家に何泊かしていた。 俺はその頃4歳くらいだった。 ※ …

電脳に棲む神

大学時代の友人の話。 そいつは結構なオタクで、今でも某SNSにガチオタな話題をバンバン日記に書くようなSE。 この前、たまたま新宿で会って「ちょっと茶でも飲もうや」というこ…

天国と地獄(フリー写真)

連れて行く

2年前、とある特別養護老人ホームで、介護職として働いていた時の話です。 そこの施設は、はっきり言って最悪でした。 何が最悪かと言うと、老人を人として扱わず、物のように扱う…

テレビの記憶

これは昔、NHKで地方の紹介をする番組で放送されました。 それは祭りとか風習とかで毎週一つの土地をクローズアップして紹介する番組だったのですが、一度ある雪深い地方が紹介された時、…

祖母のしたこと

私の一番古い記憶は3歳。木枯らしの吹く夕方、一人でブランコを漕いでいるところ。 手も足もかじかんで、とても冷たい。でも今帰れば母に叱られる。祖母に迎えに来て欲しい、ここはいつも来…

行方不明になった友達(長編)

これはまだ解決してないというか、現在進行形の事件です。 プロの探偵さんに元々依頼してた事件なんですが、警察沙汰に発展するかもしれないし、しないかもしれないし、今はなんとも言えませ…