隠された部屋

公開日: 怖い話 | 洒落にならない怖い話

img_4

友人が引っ越しをした。

引っ越し先は築10年の一戸建てで、そこそこの広さもある良い家だった。

だが、家賃が異常なまでに安い。周囲の物件の半分程度しかないのだ。

俺たちは、

「そんなに安いなんておかしい」

「絶対いわく付きだぜ」

「夜は幽霊に気をつけろ」

などと友人を茶化していた。

やがてそいつは、

「そんな事は絶対に無い。来てみればどんなに良い家かわかる」

と言い始めた。

そこで、数人でそいつの家に遊びに行くことになった。

その家に入ると、やはりどこかイヤな気配がした。

そいつはしきりに、

「どうだ、なにもないだろ。おまえらは僻んでいるだけなんだ」

などと言っていた。

1階を回った後、階段を登り2階を見て回った。

そこで、昔不動産関係の仕事をしていた家のことに詳しい男が首を傾げた。

「どうかしたか?」

と訊くと、

「1階と2階の広さが違う。2階にはもう一部屋あるはずだ」

と言う。

言われてみると、確かにおかしかった。

2階の廊下の先に、もう一部屋あるはずだった。

問題の廊下にみんなで行って、突き当たりの壁をよく見てみると、壁紙が周りより新しい事に気がついた。

そこで、壁紙を引き剥がしてみると、男の予想通りに扉があった。

なにがあるのかとドキドキしながら戸を開けようとしたが、鍵がかかっていて開かない。

俺たちは友人の許可を得て扉を破ることにした。

数度の体当たりの後、扉は開かれた。

隠された部屋の中には、壁と床に青いクレヨンで文字が書かれていた。

見渡す限りに、

「おとうさんだして おとうさんだして おとうさんだして おとうさんだして…」

と…。

関連記事

山(フリー写真)

禁断の地

これは俺の祖父の父(曽祖父)が体験した話だそうです。 大正時代の話です。大分昔ですね。曾爺ちゃんを仮に「正夫」としておきますね。 ※ 正夫は狩りが趣味だったそうで、暇さえあれ…

リサイクル

駅のホームにあるベンチに座り、電車を待っていた時だった。隣に赤ん坊を抱いた女性が座った。 子供が好きなので、ついつい子供のほうに目がいってしまう。赤ん坊を見ようとしている自分に気…

抽象的模様(フリー画像)

黒い影

私はずっと母親と二人で暮らしてきた。 父親は自分が生まれてすぐに居なくなったと母親から聞いた。 祖父や祖母、親戚などに会ったことは無い。そんなものだと思っていた。 そ…

学校の校門(フリー背景素材)

ジェニー人形

昔、父親に愛人が居た。 数年後、母にバレて別れる事になったのだが…。 それが原因でその愛人さんは精神的に不安定になり、私や私の姉達の通学路に立って、おかしな言動をするように…

廊下(フリー背景素材)

赤いクレヨン

とある夫婦が、非常に安い価格で一軒家を買った。 駅から近くに建っていてなかなか広いので、何一つ不満は無かった。 しかし一つだけ不思議な点があった。 それは、何故かいつ…

抽象的模様(フリー素材)

融合体

以前、井戸の底のミニハウスと、学生時代の女友達Bに棲みついているモノの話を書いた者です。 ……8月に物凄いことがあったので、以下にまとめました。フェイク込みなので辻褄が怪しいとこ…

田舎道

同じ夢を見ていた友人

これは、今から10年以上前──私が中学生だった頃に体験した、今も忘れられない出来事です。 当時、私はある“同じ夢”を何度も繰り返し見ていました。 夢の中で、私は左右に田ん…

放射能記号(フリー素材)

原発並み

以前、井戸の底のミニハウスと、学生時代の女友達Bに棲みついているモノの話を書いた者です。 当時、女友達Bの元彼氏(E)に聞いた小話を思い出したので投下します。 ※ 以下はこれ…

フィルムノイズ(フリー素材)

白い影の正体

私は親族に、主に妻の家族に隠し事をしている。 なぜ私だけが知り、なぜあの時、お義父さんが私だけに話したのか。 それは10年以上経過した現在でも判らない。 ※ 妻の母親、…

田舎の風景(フリー写真)

八尺様(長編)

親父の実家は車で二時間弱の田舎にあった。 その田舎町が好きで、高校生になるとよくバイクで訪れた。 高校三年になる前に最後に訪れたのが、それからもう十年以上前のことだ。 …