サイパンに残された日本兵

公開日: 心霊体験 | 本当にあった怖い話

サイパン(フリー画像)

十数年前の「人事院月報」という、国のお堅い雑誌の読者欄に何故かあった話。

少し怖かったので今でも覚えています。大体下記のような内容でした。

夏休み、一家でサイパンを訪れた。

深夜に家族揃ってホテルで寝ていたら、いきなり電話が掛かってきた。

寝ぼけ眼で受話器を取ると、男性の声で

「○○さんですか?」

と尋ねてきた。

「いいえ、違います…」

と応えると電話は切れたが、少し経った頃にまた電話が掛かってきた。

同じ人がまた、

「○さんは居ませんか?」

と言うので、

「違いますっ!」

と言って電話を切った。

全くこんな夜中に一体何事だ…と不愉快になった。

でも旦那も子供も電話には不思議と気付かず、すやすや寝ている。

その時、ふとベッドサイドに気配を感じて振り向いた。

するとそこには兵隊姿の男性が立っていた。

それを見て気が動転し、声も出ない。

日本兵はじっとこちらの方を見つめ、テレパシーのように声は使わず心に直接語り掛けてきた。

「自分は……という者だ。○○さんを探している。どこに居るか知らないか?」

「いえ、知りません…」

と念ずるように伝えると、驚いたことにまた心に返してくる。

「○○さんが、自分を日本に帰してくれると約束してくれた。どうしても探したい」

私は震えながら、

「自分はその人を知らないし、申し訳ないが何も判らない」

と言った。

すると、

「どうしても日本に帰りたい。自分だけじゃなく、皆そうだ」

と言い、窓の外を見ると無数の日本兵の姿が…。

ここで「ぎゃぁー」と悲鳴を上げたら、それらの姿はさーっと消えた。

その叫び声で家族が目を覚ました。

やはり家族は電話のことなど何も気付いていないようだった。

翌朝ホテルに文句を言ったが、「そんなのよくある話だ」と取り合ってくれない。

帰国後、何かの手掛かりがあればと、日本兵の名前を調べてみたが詳しいことは判らなかった。

それにしても何故、それまで霊体験も一切無かった自分のところに出てきたのかは不明です。

皆さん、特にこれからの季節に南の島々で浮かれ遊ぶのは、亡き兵隊さん達のことを想い慎みましょう。

関連記事

夜のオフィス

『零』シリーズ裏側の恐怖

ホラーゲーム『零』シリーズの柴田ディレクターは、お祓いを行わないことを信条としていました。 真の恐怖体験を提供するゲームを作るには、お祓いが逆に恐怖感を損なうものと認識していた…

案山子の神様

田舎住まいなので、通学時にはいつも田んぼの脇道を通っていた。 その日も家に帰るため、いつものように田んぼの脇道を、カエルの鳴声を聞きながら歩いていた。 すると田んぼの中に、…

民家

さしあげますから

もう10年以上前の大学時代の事。 当時、実家の近所にある小さな運送会社で、荷分けやトラック助手のバイトをしていた。 現場を仕切っていたのは、社長の息子で2つ年上の若旦那。 …

骨董品屋

晴れ着

俺がまだ大学生だった10年前、自称霊感の強い後輩Aと古いリサイクルショップへ行った時の話。 リサイクルショップと言っても、築30年は軽く経っていそうなボロボロの外観で、どちらかと…

人が溺れてる

友達から聞いた話。 夏の暑い日の真夜中、仲の良い友達数人で海辺で花火をして遊んでいました。 薄暗い砂浜を、花火を向け合ってわーわー言いながら走り回っていると、友達の一人がい…

飢饉があった村(長編)

俺の実家、岩手県のとある地方なんだけどさ、毎年帰省するんだけどね。よく田舎って「本家」みたいなのがあるのは分かるかな? その一族の本家っていうかさ、要は親戚縁者を統括する家みたい…

不気味な唄

何かの雑誌の投稿で読んだ話で、もう随分前のことです。 まだMDすらなく、CDからカセットへ録音してウォークマンで聴いていた頃の話です。 その女性(Aさん)は当時中学生くらい…

ホテル(フリー素材)

鶯谷のホテル

これは実際に体験した不思議な話です。 皆さん、鶯谷をご存知でしょうか? 山手線沿線でありながら最も人気の無いエリア。江戸時代にあった遊郭が今も尚息づくソープランド街「吉原」…

死後の世界への扉

これは母から聞いた話です。 私の曽祖父、つまり母の祖父が亡くなった時のことです。 曽祖父は九十八歳という当時ではかなりの高齢でした。 普段から背筋をぴんと伸ばし、威厳…

病院で会ったお婆さん

この話は実話です。私自身も体験したことなのですが、当時は何も気付きませんでした。 ※ それは私がまだ幼い頃です。記憶は曖昧なのですが、確か妹がまだ赤子だったので、私は小学生の低学年…