見知らぬ街で目覚めた日

街並み

2001年の秋、私は風邪を引いて寒気を感じていました。症状を抑えるため、大久保にある病院に行くことにしました。西武新宿線の車内でつり革につかまり、頭痛がひどくなってきたため、目を閉じて耐えていました。

その瞬間から記憶が途絶え、気がついた時は夕方で、周囲は見知らぬ景色でした。身に覚えのない服を着ており、染めた覚えのない茶髪になっていました。

慌てて近くのラーメン屋に駆け込み、現在地を尋ねました。答えは「大阪市福島駅近く」とのことで、時計を見ると、なんと1年近くが経過していました。

手元にあったケータイは機種が変わっており、アドレス帳には「ま」とか「ひ」といった一文字の名前が記された電話番号が10件程度登録されていましたが、親しい人や実家の番号は一つもありませんでした。見知らぬ番号が不気味で耐えられず、ケータイを川に捨てました。

すぐに警察を通じて実家に連絡しました。実家の人々も私が失踪していたことにパニックを感じていました。実は、私には捜索願が出されていたのです。

家に帰ってから、私は月に一度、精神病院に通うことになりました。元の会社には戻れなかったため、現在は派遣で働いています。この不思議で恐ろしい経験は、今でも私の心に深い影を落としています。

関連記事

田所君

小学生のころ同級生だった田所君(仮名)の話。 田所君とは、小学5年から6年の夏休み明けまで同じクラスだった。田所君は、かなり勉強の出来るやつだった。 学校の図書館を「根城」…

階段

日暮里駅の階段

友人との怪談話の中で、ある興味深い話を耳にしました。それは、日暮里駅の改札を出て右手にある階段での話です。友人の知人から聞いたというその話では、「その階段の23段目で振り返ると、面白…

俺神様

俺の両親は、俺を孕んだ時と産まれる時の夜に、光が腹に入っていくような神秘的な夢を見たことで「あんたには何か力がある」と信じこんでいて、家族で何か悩み事がある時には、俺が最終決定をして、…

交差点(フリー素材)

命の恩人との再会

小学5年生の時の話をします。 ある日、通学路の交差点を渡っていると、右折車が横断中の俺を目がけて突っ込んで来た。 催眠術にかかったように体が動かず、突っ込んで来る車を呆然…

時空

時空トンネル

数年前、子供の頃に不思議だった出来事が繋がった話です。 5才くらいの記憶で、その頃はよく畑仕事に兄と付いて行っていたんです。 畑から数十メートル離れた場所に、大きな岩が何個…

タヌキの足跡

神棚のタヌキと姉の運

俺の姉は、昔から“運が良い”と評される人間だ。 宝くじを買えば、ほぼ毎回のように当たりが出る。とは言っても、夢のような3億円といった大当たりではない。大抵は3,000円。あまり…

神社の鳥居(フリー写真)

隠しごと

人混みに紛れて妙なものが見えることに気付いたのは、去年の暮れからだ。 顔を両手で覆っている人間である。ちょうど赤ん坊をあやす時の格好だ。 駅の雑踏のように絶えず人が動いて…

地下鉄

時空を彷徨う路線

数年前の出来事です。ある日、私は東京の地下鉄に乗りました。どの路線かは明かしませんが、通常は2~3分ごとに駅で停車するものです。 しかし、ある駅を過ぎた後、電車は異様に長く走り…

街のショップ

開かない自動ドア

大学二年生の夏休みが近づいた頃、私に不思議なことが起こり始めた。 突如、コンビニやスーパーなどの自動ドアが私に反応しなくなったのだ。 以前は普通に使えていたコンビニの自動…

メールの送信履歴

当時、息子がまだ1才くらいの頃。 のほほんとした平日の昼間、私はテレビを見ながら息子に携帯を触らせていた。 私の携帯には家族以外に親友1人と、近所のママ友くらいしか登録して…