
12月の中旬に、恐らく『時空のおっさん』に関連する体験をしました。これは創作ではなく、確かに体験した実話です。
私はコスプレイヤーで、その日は友達と4人で地元のコスプレイベントに出掛けていました。会場は屋内と屋外を両方使える設計でしたが、当日は大寒波に見舞われ、非常に寒い日だったため、私たちは屋内で撮影を楽しんでいました。
お昼過ぎ、そろそろ昼食をということになり、私たち4人は受付に向かいました。しかし、会場内では飲食が禁止されているため、外のテラスで食事をすることになりました。クソ寒い中、コートを着て仕方なく外へ出て昼食を楽しんでいました。
私以外の3人は、予定していたボーカロイドの大型併せに参加するため、早めに昼食を終えてそちらへと向かいました。一人残された私は、寒さにも少し慣れ、テラスでパックのジュースを飲みながら、周囲のレイヤーさんを眺めていました。
しばらくして、ふと「今日撮った写真を見よう」と思い、カメラを取り出して写真をチェックし始めました。そうしているうちに、周囲が異様に静かになったことに気づきました。この日は寒さのせいで人出も少なく、元から静かな雰囲気でしたが、これほどまでに静まり返るのはおかしいと感じました。
周りを見渡すと、先ほどまで写真を撮っていたレイヤーさんたちもすべて姿を消していました。不安に駆られながら屋内に戻ろうと立ち上がると、目の前の光景に息をのみました。空全体が、雲を含めて、真緑に染まっていたのです。
この異様な光景に圧倒され、イベントのことすら忘れて泣き出してしまい、受付へ行こうと屋内に入りました。しかし、そこにも誰もいませんでした。撮影用に設置されていたセットは人気のあるものでしたが、すでに人はおらず、椅子はかつて人が座っていた形跡を残していました。
そんな状況で、どうにかスタッフルームへと向かいましたが、廊下で白いカーディガンに青いブラウス、ジーンズを履いた女性に出会いました。彼女は何かを手にしていましたが、顔ははっきりとは見えませんでした。
私が声をかけると、彼女は驚いた様子で、「どうしたの!? 何でここにいるの!」と声をあげました。私はその状況を説明しようとしましたが、彼女は慌てて携帯で通話を始め、「遭難者」という言葉を使いながら何かを説明していました。
その後、彼女は私に「怖かったね」と言い、目の前が一瞬でバチッと光るような感覚を覚えました。
気がつくと、私は元いたテラスに座っていました。周囲には何も変わった様子はなく、友人たちも普通にイベントを楽しんでいました。
これがただの夢ではないことを知り、帰りの道すがら友人にその出来事を話してみました。すると友人は、「それ、時空のおっさんだよ!」と言って、あるオカルト掲示板の話を教えてくれました。それを聞いても、私の恐怖感は消えませんでした。