霊の行く場所(従姉妹シリーズ5)
公開日: 従姉妹シリーズ
前回の件があった六年後、一家揃って隣の県に引越しました。
当時の私は社会人一年目であり、まだまだ学生気分が抜けておらず、その日は新入社員四人で心霊スポットへ行く事になりました。
正直行きたくなかったが、普段気の強い私がそういうものを怖がると思われたくないので行く事にしたのです。
そこは首吊り自殺の名所であり、車が擦れ違う事も出来ないほど細くて小さなトンネル。
工事を途中で止めたのか、所々鉄骨が剥き出しなトンネルで、その鉄骨で首を吊る方々が後を絶たないと言われている場所でした。
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後部座席に乗り、そのトンネルを通過…。
運転していたF君が一瞬ブレーキを掛け、
「気のせいかな? 何かが前を横切った気がするんだけど?」
と言っていましたが、私は怖くて実は目を瞑っており、見てはいませんでした。
その時はそれ以外何事も無く過ぎ、会社の駐車場まで戻って、それぞれ自分の車で自宅へ戻る事になりました。
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自分の車に乗り込み時計を見ると午前0時を過ぎており、『やばいな~。親に怒られるかな。急ごう』などと思いながら車を走らせていました。
あと少しで家に着く所まで進んだ時、視界の左端に白いワンピースの人影が見えた気がして車のブレーキを掛けたのですが、見ると誰も居ません。
『ん? 気のせいか。それより急がなきゃ』と、親に怒られるかもしれないと思っていた私はさして気にもせず、スピードをまた上げました。
ところが、あと500メートル程で家に着くという所で、またしても視界の左端にワンピースの人影が映った気がしました。
気になってスピードを落としたのですが、やはり誰も居ません。
この時点で、その白いワンピースは花の模様が付いたものだと気が付いたものの、気のせいという事にしていました。
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家に着いて車を車庫に入れ、車を降りた瞬間、背中に強烈な視線を感じました。
『車庫の中に人が?!』と思った私は、咄嗟に電気を点けました。
しかし、もちろん誰も居ません。でも明らかに人の気配がするのです。
その瞬間、背筋がゾクゾクし始め、慌てて家に駆け込みました。
※
両親は既に寝ており、私は恐怖を押し殺しながら自室に入ったのです
自室に戻り、『怖い怖いと思うからダメなんだ!気のせいだ、気のせい!』と自分を励ましつつ着替えを済ませたのですが、どうしても人の気配が消えません。
どこから気配がするのかどうしても気になり部屋をキョロキョロと見渡すと、出窓に目が行きました。
『怖いと思うからダメ!気になるなら自分で確かめてみたら良い。意外に本当に気のせいかも』と思いつつカーテンを開けました。
「…ヒッ…!!」
悲鳴を上げようにもあまりの恐怖で声が出ず、喉の辺りでヒューヒューと鳴るばかりでした。
窓の外にはさっき見掛けた白いワンピースの女が、物凄い形相でこちらを睨んでいるのです。
真っ黒な長い髪、もう絶対この世のものではない肌の色、極めつけはこの自室は三階。
一晩中寝る事も出来ず、ガタガタと震えるばかりでした。
しかも最悪な事に昼も夜もずっと傍に居り、しかも見えるんです。
見えるのは私だけらしく、心霊スポットへ一緒に行ったメンバーに話しても、見えないよとの返事。
※
三日目になって体力も限界になり、取り殺されるんじゃないかと思った私は、視えるという従姉妹の家へ相談に行きました。
従姉妹に事の成り行きを全て話すと、
「面白がってそんな所に行くからだ!」
と怒られ、
「取り敢えずお祓いに行くように。あと今晩は小豆と塩を身に付けて寝るように」
と言われました。
帰り際に従姉妹に見えるかどうか聞くと、
「見えない」
との返事でした。
その夜から私の周り居たはずの女が、不思議な事に消えたのです。
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原因は四日後に判りました。
従姉妹から私宛てに電話があったそうです。
私は仕事で家に居らず、電話は母が取ったらしいのですが、話によると従姉妹は烈火の如く怒っており、
「○○が、あたしの家に置いて行きやがった」
との事。
従姉妹は四日間、部屋中の壁を一晩中引っ掻かれ、金縛りに遭ったりして死ぬ程恐かったらしいです。
霊って霊感の強い方に行くんですね。
霊感のある方々は本当に気を付けてください。