不思議の国のアリス症候群
『不思議の国のアリス症候群』という病気を耳にした事があるだろうか。
これは得体の知れない悪夢に魘されるという症状で、人によっては毎晩のように発生する。
その悪夢とは常人の想像を遥かに超える程に凄まじいもので、あらゆる苦しみが襲ってくるという。
ここで言う苦しみとは、息が出来なくなるとか、身体のどこかが痛くなってしまうとか、そのような類のものではなく精神的な痛みである。
その苦しみには大きいものから小さいものまであり、まるで波のように襲ってくるのである。
大きいものは、際限なく膨れ上がり、それが恐怖となり苦痛となっていく。
小さいものは、小さいもので際限なく縮んでいき、それがまた恐怖となり苦痛となっていく。
この恐怖と苦痛は、決して言葉では表現出来ないレベルのものである。
そして、無限も苦しみの一つである。
どういう事かと言えば、例えば、自分が植物人間になってしまって、意識はあるのに動けない、死ねないという無限の時間を、そのままの状態で継続しているという恐怖である。
夢なので、それは自分の事であって、客観的に捉える事はできずに全て主観の出来事である。
この様な苦しみの果てには死というものの存在がなく、とどめの苦しみが待っている。
誰がとどめを刺すというのはないが、その時の苦しみは断末魔をあげてしまいたくなるもので、この時が一番苦しいのだという。
そしてピークの苦しみが終わるとまた振り出しに戻され、苦しみが繰り返される。
この原因不明のアリス症候群という病気は、特にアメリカで多く報告されており、幼児期の症状が圧倒的に大多数を占めているとされるが、成人でいきなり発症するケースも少なくない。