入れ替わった兄

住宅街(フリー素材)

小学校に上がる前だと思う。

ある朝、目を覚ますと隣で寝ている兄以外、家の中に人の気配が無かった。

家中を見て回るが、誰も居ない。

不安になって兄を起こそうと声を掛け、肩をゆするが目を覚まさない。

どんなに激しく揺り動かしても、ぐにゃり、ぐにゃりとするばかりで死んでいるかのようだ。

私は怖くなって家の外に出た。雨が降っていて薄暗かった。

家の周りを泣きながら歩き回ったが、家の外にも全く人の気配が無かった。

泣きながらまた家に帰りぐずぐずしていると、不意に両親が現れた。

「どこに行ってたの」と聞いても答えてくれず、「お父さんはここにいるよ」「お母さんはここにいるよ」と答えるばかりである。

訳が解らなかったが、とにかく両親が戻って来て私は安心した。

すると、そこに兄が現れた。兄の顔を見た私は息を呑んだ。

そこに居た兄は兄ではなかった。背格好は似ている。しかし昨日までの兄、さっきまで隣で寝ていた兄と顔が全然違う。

目付きがきつい。鼻が細く高い。頬が痩けている。髪がぺたんとしている。

あの不思議な朝のような出来事はあれが最初で最後だったが、兄はそれからもずっと別人のままだ。

関連記事

ドッペルゲンガー

弟のドッペルゲンガーを2回見た。 1回目は自分が3歳の時。 実家は庭を挟んで本宅と離れがあるんだが、庭の本宅寄りの場所で遊んでて、そこから家の中が見る事が出来た。 居間で母が…

白い空間

誰もいない世界

私は2年前まで看護師をしていました。 今は派遣事務の仕事に就いていますが、我ながらよくあの殺人的なシフトをこなしていたなと感心します。17、8時間の拘束は当たり前の世界ですから。…

団地

団地の謎のおばさん

母がまだ幼かった頃、一家で住んでいた団地での不可解な出来事です。 ある日、母と母の姉(私の伯母)が外で遊ぶために家の階段を降りていました。一階の団地の入口に、見知らぬおばさんが…

山道(フリー写真)

知らない道路標識

小学2年生の頃、仲の良かったタケシと一緒に、虫採りに学校の裏山へ行った。 その山は俺達の遊び場で、隅から隅まで知っている。まあ、山と言うより、中規模の雑木林のような感じだ。 …

線路(フリー素材)

北陸の無人駅

昔、北陸の某所に出張に行った時の事。 ビジネスホテルを予約して、そのホテルを基点にお得意様を回る事にした。 最後の所で少し飲んで、その後ホテルに戻る事にした。 ※ ホテ…

星空

夜の合宿地での不思議な出会い

私たちの高校には天文部という小さな部活がありました。 夏と言えば、ペルセウス座流星群を観測する合宿が恒例となっていました。 ある年、合宿地として選んだのは、都会の喧騒から…

エアコン(フリー写真)

なんまいしゃん

これは父親から聞いた、自分が子供の頃に体験した話。 自分が3歳の時、四十度以上の高熱を出したらしい。 その時、深夜23時50分頃。 熱に魘されて布団に寝ていた俺が突然…

枕(フリー写真)

槍を持った小人

最近の話。 俺の家は四人家族で、いつもカミさんと上の子、一歳の下の子と俺が一緒に寝ているのだけど、この下の子がよくベッドから落ちる。 俺も気を付けて抱っこしながら寝たりする…

セブンイレブン

未来のお店

俺が6歳の頃の話。当時の俺は悪戯好きで、よく親に怒られていた。 怒られたら泣きながら「こんな家出てってやるー」と言って家出し、夕御飯には帰って来るということがよくあった。 …

龍神様の掛け軸

実家にある掛け軸の話。 いつ誰が買ってきたのかも定かでない、床の間に飾ってある龍神様の描かれた小ぶりの掛け軸。 聞けば祖母が嫁いできた頃には既にあったと言うから、既に70年…