女の勘

eye-clip-art-black-and-white-woman_eyes_black_white_line_art_coloring_book_colouring-2555px

結婚して4年目の頃の話。

会社に可愛い事務の女の子が入ってきた。

さすがに浮気する気はなかったけど、その子のことは気になっていた。

ある日、飲み会にその子も来ることになり、俺は良い気分で酒を飲んだ。

青いチェックのワンピースを着ていたんだけど、清楚で可愛くてドキドキした。

その子は終電で帰って行ったが、俺は浮かれて同僚と遅くまで飲んだ。

家に帰ると真っ暗で、さすがに嫁も寝てるかと思い、取り敢えず風呂に入った。

家の風呂場の入り口には、のれんみたいな仕切りのカーテンをしていたのだが、風呂から上がりタオルで体を拭いていると、カーテンの下に足が見えた。

ぎょっとして中を覗くと、のれんを割って青いワンピースの女が見えた。

頭が混乱し、とにかくビビって声を出したと思う。

よく見たら嫁だった。俺は動揺して声が出なかった。

嫁は事務の子と同じワンピースを着ていた。寝ているはずの真夜中に。

俺はなぜかその時、殺されると思った。

まあ、今も生きているわけだが…。

結局ワンピースは偶然だったようなのだが、本当に偶然だったのかどうか、実は今も釈然としていない。

関連記事

日本人女性の目(フリー写真)

最後の一線

ある意味怖く、ある意味笑っちゃうような話なのだが…。 俺が高校一年生の時の話だ。 この頃はもう両親の関係は冷え切っていて、そろそろ離婚かな…という感じの時期だった。 …

夜のビル街(フリー写真)

呻き声

俺のツレはいわゆる夜中の警備のバイトをしていて、これはそのツレにまつわる話。 ある日、そいつが言うには、 「何かさ、最近、バイト中に鳴き声がするんだよな」 「まあ、近…

六甲山ハイウェイの死神

私には「霊感」という物が全く無く、またそういった類の物も信じてはおりませんでした。 「見える」という友人から霊の話を聞いていても、自分に見えないと存在が解らないし、また友人が私を…

悪魔の書

中学生の頃、俺は横浜に住んでたんだけど、親父が教会の神父やってたの。 神父にしては結構ざっくばらんな性格で、結構人気もあったんだ。 まあ、俺なんて信心深い方じゃないし、一家…

崖

おいぼ岩

時刻は夜十時を幾分か過ぎた、とある冬の日のこと。 僕を含めて三人が乗った車は、真夜中の国道を平均時速80キロくらいで、潮の香りを辿りつつ海へと向かっていた。 僕が住む街から…

てるてる坊主(フリー素材)

いもうと

俺の家には昔、いもうとが居た。 いもうとと言っても人間ではなく、赤ん坊くらいの大きさの照る照る坊主みたいな奴だった。 下の方のスカートみたいな部分を丸く結んだ感じ。まあつま…

祖父の箱

旅先で聞いた話。 伐り倒した木を埋めておくと、稀に芯まで真っ黒になることがある。 そんな埋木を使って特殊な方法で箱を作ると、中に女子が育つそうだ。 ただし、箱を開ける…

かんかんだら(長編)

中学生の頃は田舎もんの世間知らずで、悪友の英二、瞬と三人で毎日バカやってた。まぁチンピラみたいなもん。 俺と英二は両親にもまるっきり見放されてたんだが、瞬のお母さんだけは必ず瞬を…

縁の下

あるタクシー運転手の奥さんが、まだ5才になったばかりの子を残して亡くなってしまった。 父親は仕事柄出掛けている時間が長く、そのあいだは隣の家に子どもを預けていた。 しかし、…

てめぇじゃねぇ!

ある夜のことでした。 会社員のAさんは残業で遅くなったのでタクシーを拾いました。 タクシーの中では、運転手さんと色々な話で盛り上がっていました。 そして、タクシーは山…