エラーの原因

公開日: 洒落にならない怖い話

120615_IMG_0604-hdr-studio9-2

俺は当時リサイクル工場で働いていた。

仕事の内容は、ゴミを回収してきて、それを可燃・不燃・ビン・アルミ・スチール・ペットボトル・発砲スチロールと分別し、それぞれを出荷するというものだった。

ヘタレな俺は3年で辞めてしまった訳なんだけど、辞める2日前に怖い体験をした。

いつものようにゴミの入った袋を手で破いて、中身を確認してから機械の中に放り入れていた。

この機械っていうのは、中に刃の付いたスクリューがあって、それが回転して、さらにゴミ袋をズタズタに破いてくれる便利な機械なのね。

ただ、石や鉄を入れると刃が折れちゃうから、機械にブチ込む前に毎回中身を確認してる訳です。

偶にまだ使えるお宝っぽい物が入ってたりしてたから、ワクワクしながら袋を確認してた。

その日も大量のゴミ袋の中に一つだけ真っ黒な袋があったから、期待に胸を膨らませながら開けてみたんだ。

でも、その袋、何重にも黒いゴミ袋を重ねてるせいか破っても破っても中身に辿りつけなかった。

外から触ってもフワフワした感触しかなかったので、面倒だからそのまま機械の中に放り入れたんだけど、作業終了時刻前に突然機械がエラーになって稼働が停止した。

取り敢えずエラーを解除して、時間も遅かったので先にバイトを帰宅させた。

俺は前日仕分けたアルミを出荷しに行って、工場に帰ってきた頃には18:30で、外はもう真っ暗になってた。

上司も先に本社に戻っていて、工場内は俺1人だけ。物音や足音を立てるだけで凄い響くほどの静けさ。

エラーの原因を調べる為、機械の蓋を開け、懐中電灯を片手に中を調べてみた。

真っ暗な中、スクリューを懐中電灯で照らしてみると、なにやら黒い糸がスクリューの中心軸に絡みついていた。

この時は何が絡みついていたか分からなかったが、俺は無数に絡みつく何かを無性に素手で引き千切っていった。

時計を見ると時刻は既に20:30になっていたので、取り敢えず機械内部を水道水で洗浄して、機械が正常に稼働するか確認してみた。

いつも通り正常に動いていたので、しばらく稼働させて先に戸締まりをした。

ふとベルトコンベアーの方を見てみると、先程スクリューの軸に絡みついていた黒い糸が大量に流れてきていた。

自分の目を疑った。それは糸ではなく、人の髪の毛だった…。

絡みついた髪の毛を、時間を忘れ無性に素手でブチブチと引きちぎってた自分自身が怖くてたまらなかった。

急いで稼働を停止させ、電気を消し工場を後にした。

本社で上司に話してみたが「どうせ美容院とかの髪の毛だろ」と軽く流された。

次の日、工場の鍵を開けスクリューの機械の下を見てみると赤褐色の水溜まりができていた…。

スクリューの機械内部は錆れていて、水で流すと錆も混じって赤褐色の水が流れてくるが、俺にはどうしてもそれが血の混じった水に見えて仕方なかった。

関連記事

首長リーマン

終電の一つ前の電車に乗っていた時の事。 電車内には俺と、酒を飲んでいる汚いおっさんが一人。 電車の中で酒飲むなよと思ったけど、臭いも届かないし、まあ良いかという感じで携帯を…

達磨女

海外旅行中、ブティックの試着室に入った妻がいつまで経っても戻ってこない。 不審に思った夫が扉を開けると、そこに妻の姿はなく、持って入った服だけが落ちていた。 現地警察に通報…

田舎のフリーイラスト素材

ほっとけさん

これは私が小さい頃、実際に起こった出来事です。 私の親は私が物心がつく前に離別し、私は母方に引き取られました。 しかし私の母の実家は結構な田舎で、女性が仕事を探すのは困難で…

峠

かんのけ坂

今年の2月に起きた本当の話。 大学4年で就職も決まり、学校生活も落ち着いたので、念願の車の免許を取るべく免許合宿に行ったんだ。 俺の地元は近畿なのだが、合宿場所は中国地方だ…

パンドラ(長編)

私の故郷に伝わっていた「禁后」というものにまつわる話です。 どう読むのかは最後まで分かりませんでしたが、私たちの間では「パンドラ」と呼ばれていました。 私が生まれ育った町は…

小さな猫のぬいぐるみ

先日、成人式後の同窓会で聞いた話。 T君はお父さんを小学生の頃に事故で亡くし、それからずっと母子家庭。 T君自身はそんな環境どこ吹く風と言った感じで、学級委員をやったりサッ…

廃工場(フリー素材)

溶接

大学一回生の冬。俺は自分の部屋で英語の課題を片付けていた。 その頃はまだそれなりに授業も出ていたし、単位も何とか取ろうと頑張っていた。 ショボショボする目で辞書の細い字を指…

田舎の風景(フリー写真)

天神逆霊橋

そもそも『天神逆霊橋』というのは、神奈川の話ではない。 詳しい地名は失念してしまったが、東北の方のある村の話だった。 その村では悪さをする子供に「天神様の橋を渡らせるよ」と…

友子が二人

一人で繁華街を歩いていると、ガラス張りのカフェ店内の窓際席に一人でいる友子を見つけた。 友子の携帯に電話して驚かせようとしたが、友子は電話に気付かない。 じっと座り、目を左…

日本人形(フリー画像)

ばあちゃんの人形

母から聞いた本当にあった話。肉親の話だから嘘ではないと思う。 母の昔の記憶だから、多少曖昧なところはあるかもしれないけど。 ※ 母がまだ子供の頃、遊んで家に帰って来たら居間の…