高九奈駅

無人駅

今でも忘れられない、とても怖くて不思議な体験をしたのは、私がまだOLをしていた1年半前のことです。

毎日、会社でのデスクワークに疲れて、帰りの電車で眠るのが日課でした。混んでいて座れない日でも立ったまま寝ることもありました。

ある日、残業が長引き、終電近くに電車に乗りました。人はほとんどおらず、座席の端に座り、手すりに寄りかかって眠りにつきました。

目を覚ました時、電車はまだ走っていました。携帯を見ると、なんと午前2時1分。驚いて席を立ち、周りを見回すと誰もいませんでした。圏外表示の携帯、車掌さんの姿も見えず、私は急いで前方の車両に向かいました。

その途中、小学生くらいの男の子が座っていました。彼に話しかけると、彼もこの電車がどこに向かっているかは知らないと言いました。彼は私に「ここに来ちゃダメ」と謎の言葉を残し、降りていきました。

次に電車が止まった駅は「高九奈駅」と書かれていましたが、どこにもそんな駅の名前は聞いたことがありませんでした。ドアが閉まり、電車は再び走り出しました。

少ししてから、父からの電話があり、私はようやく家に連絡を取ることができました。父はすぐに迎えに来てくれると言い、私は安堵しました。

しかし、次に電車が停まった駅の看板は読めず、周りは田んぼと山ばかり。私は線路を辿り、何とか前の駅を目指しましたが、結局たどり着くことはできませんでした。

その後、父の車に乗ったと思ったら、父の声が変わり、何かがおかしいことに気付きました。車が曲がるタイミングで、私は車から飛び降りました。

目が覚めると、病院のベッドにいました。そこで初めて知ったのは、私が救急車で運ばれてきたこと。父に昨日のことを聞いても、何も知らないとのこと。

あの夜の電車、男の子、無人駅、そして「父」は一体何だったのでしょうか。それらについては、今も答えは見つかっていません。

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