異世界の体育館
公開日: 異世界に行った話
中学一年の夏休み、部活で合宿に行った。
合宿所の体育館で遅くまで練習した後、三年の先輩に付き合ってもらって練習していた。
フローターは同級生で一番最初に打てるようになったのにドライブがどうしても打てず、悔しくて何度も先輩に教えてもらっていた。
一年生で、バレー部で一番チビなのに二年生を飛び越してレギュラーになっていたから、二年生には苛められていた。
でも実力が伴えば良いんだと思い、いつも必死で練習していた。
※
先輩達は「明日は練習試合があるんだからね」と言い、先に寝てしまった。
一人で23時頃まで練習してから後片付けをし、少し夜風に当たろうと思って体育館の外側の扉を開いたら、そこは体育館だった。
そこでは部のみんなが練習していた。
黙々と掛け声もかけずに練習していた。
「え!? みんな練習してるんですか? 言ってくれれば良かったのに!」
と言いながら中に入ろうとしたら、私のポジション(セッター)の所に、私が居た。しかも目が合った。
気味が悪くなって扉と鍵を閉めたら、ドンドンドンドンと扉を叩かれたので怖くなって逃げた。
※
ロビーに顧問の先生(女性)と監督の先生(男性)が居た。
「先生~~!!」
と私は先生に抱きついて泣き出した。凄く怖かったのだ。
全部話すと、顧問先生は
「あんたは練習熱心だから、ちょっと疲れちゃったんじゃないの?」
と言った。
しかしあまりにも怖かったし、体育館の電気を消さずに走って来てしまったので、監督先生に付いて来てもらい確かめに行った。
監督先生は、その年に先生になったばかりの新米先生だった。
※
体育館に着くと、問題の扉を開けてみた。
そこにはやはり体育館があり、監督先生ももう一人の自分と会った。
私はその場で尻餅をついてしまい、監督先生におぶわれた。
急いで電気を消し、ロビーまで戻った。
次に顧問先生と先輩達が行くと、あったのは断崖絶壁の海だったそうな。
※
「あれは何だったんだろうね」と、二十歳を過ぎた今でも、偶に監督先生と会うと話している。