玄関の右端だけ乾かない
去年の4月から、5歳まで暮らした旧道沿いの町が担当になった。夕方5時の音楽が折り返すと、右手の指の間だけが濡れる。玄関の右端はいつも湿っていて、そこだけ乾かない…
去年の4月から、5歳まで暮らした旧道沿いの町が担当になった。夕方5時の音楽が折り返すと、右手の指の間だけが濡れる。玄関の右端はいつも湿っていて、そこだけ乾かない…
たたら製鉄で栄えた山奥の谷に残る、近づいてはならない石塚。治山の測量で禁を破った私が触れた黒い口と、左手に残った冷たさ。土地の禁忌を描く長編の怖い話。今も谷の石…
信州の製糸の家に奉公した私が出会った、市松人形にまつわる怖い話。喪った娘と同じ名を与えられた人形は夜ごと向きを変え、髪を失い、やがて家の者を一人ずつ呑み込んでい…
山あいの集落を担当する郵便配達員が体験した話。行き止まりの農道の奥に、毎月荷物を無言で受け取る老婆がいた。ある日、玄関前に見知らぬ男の人影が消え、帰り道に思いも…
田んぼの真ん中にある水神様の祠は、子どもが近づいてはいけない場所でした。夏の晩に幼馴染と入り込むと、空の色が変わり、生い茂っていたはずの草が一本もなくなっていた…
深夜の峠を運転していると、同じ道端の地蔵が三度もライトに浮かびました。助手席の山根は俯いたまま、自分の家の庭に埋まっているというものの話を続けます。彼が低い声で…
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