凪の晩に浜へ来るナギサマ
平成六年の夏の終わり、半島の役場で働く私は、先に逝った母の故郷の漁村で、古い土地台帳に「凪番」という家の役を見つける。凪いだ晩に海の向こうから上がるナギサマ、呼…
平成六年の夏の終わり、半島の役場で働く私は、先に逝った母の故郷の漁村で、古い土地台帳に「凪番」という家の役を見つける。凪いだ晩に海の向こうから上がるナギサマ、呼…
凪いだ海へ出た漁船が、無人のまま漂って戻ってきた。船室には湯気の立つ膳が四つ、いや五つ。舳先で途切れる幼子の足跡と、日誌の最後の一行、過去帳に増えた名も知れぬ戒…
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