淵に二度映ってはいけない
昭和四十八年の夏、巡回映画の助手だった私は水没が決まった紀伊の山村へ入った。上映の夜、村人は全員が白い布に背を向けて座っていた。窓は新聞紙で塞がれ、子どもは名を…
昭和四十八年の夏、巡回映画の助手だった私は水没が決まった紀伊の山村へ入った。上映の夜、村人は全員が白い布に背を向けて座っていた。窓は新聞紙で塞がれ、子どもは名を…
昭和のダム計画で、水に沈む村を一軒ずつ調べていた私たちは、外れの溜池にある、触れてはならない古い石蓋を起こしてしまう。やがて主任は知らぬ名を点呼のように呼び始め…