叔母さんのお守り

公開日: 不思議な体験

ランドセルの女の子

小学2年生くらいの時から、妙な光の玉を度々見るようになった。

家族にその話をしても嘘つき呼ばわりされるので、今度その光の玉を見た時は証人となる人を連れて来て一緒に見ようと頑張った。

ある日の夕方、近所の神社の前で光の玉を見つけた。

自分は急いで家に帰り、母親を連れてやって来た。

母親は「何? これ?」と、信じられないものを見るようにそっと手を伸ばしたが、急に「帰ろう」と言い、自分の手を引き家に帰った。

夕食の時間、自分は光の玉の話を持ち出した。

「お母さんも見てるんだから、嘘じゃないよ。ね」と母親の方を見たが、母親は無反応。

無反応と言うより、何か怒っているようにも見えた。

兄貴が「嘘だ。嘘つき」と冷やかしてくるので、

「お母さんも見たじゃん。ねぇ。見たでしょ?」と母親に証言してもらおうとすると、

「いいから早く食べなさい!」と怒鳴られた。

暫く経って、伯母さん(母親の姉)が家に遊びに来て、自分にお守りをくれた。

「○○ちゃん(自分)が事故や病気をしないようにってお守りだから、いつも持っているんだよ」と言って、首から下げてくれた。

それから風呂に入ったりプールに入ったりする時以外は、いつもお守りを身に着けた。

ある日、家に帰ると伯母さんが遊びに来ていた。

「○○ちゃん。お守りどうした?」と聞かれ、初めて失くなっていることに気が付いた。

「あれ? どこかに落としちゃったのかな? 探して来るよ。多分学校かな?」と出掛けようとすると、

伯母さんは「あぁ。いいよ。いいんだよ」と出掛けるのを止めた。

「また持って来てくれるの?」と聞くと、

「もういいよ。役目が終わったんだからね」と、失くしたことは怒られなかった。

母親も怒っているかと思ったが、何も言わなかった。

その後、妙な光の玉を見ることは少なくなったが、光の玉の話をすると、伯母さんがやって来てお守りを渡された。

中学生くらいの頃から、妙な光の玉を見ることはなくなった。

そして、伯母さんからお守りを渡されることもなくなった。

関連記事

巻き戻った時間

記憶から消えない記憶

子供というのは、混乱すると訳の分からない行動をとってしまうものだ。 これは、幼い頃の自分に起きた、今でも信じがたい不思議な出来事である。 ※ 当時は5月の節句。 …

かくれんぼ

かくれんぼの夢

これは四つ下の弟の話。当時、弟は小4、俺は中2、兄貴は高1だった。 兄貴は寮に入っていたから、家に帰って来ることは殆ど無かった。 俺は陸上部に入っていて、毎朝ランニングをし…

病気がちの少女(宮大工5)

年号が変わる前年の晩秋。 とある街中の神社の建て替えの仕事が入った。 そこは、幼稚園を経営している神社で、立替中には園児に充分注意する必要がある。 また、公園も併設し…

公衆電話(フリー写真)

鳴り続ける公衆電話

小学生の時、先生が話してくれた不思議な体験。 先生は大学時代、陸上の長距離選手だった。 東北から上京し下宿生活を送っていたのだが、大学のグラウンドと下宿が離れていたため、町…

エレベーター

赤い空のエレベーター

建築基準法によると、5階以上の建物にはエレベーターの設置が義務付けられているそうだ。 私が以前住んでいた、高速道路沿いのマンションにも当然エレベーターが一基設置されていた。 …

異世界での体験談(長編)

異世界とか霊界とか、信じる信じないではなく、当たり前にあるものだと思って生きてきました。 死んだおじいちゃんが出雲大社で修行していて、祈祷師のような事もやっていたから。 家…

キャンプ場(フリー素材)

黒い石

大学時代のサークル活動で不思議な体験をした。 主な登場人物は俺、友人A、先輩、留学生3人(韓国、中国、オーストラリア)、友人Aの友達のアメリカ人、他は日本人のサークルメンバー。 …

ダル

小学校の頃、家族で山に行った時の話。 俺はふとしたことで山道から外れ、迷子になってしまった。 山道に出ようとしたけれど、行けども行けども同じような風景が続く。 そのう…

ジャングルジム

幼き日の影

今年で33歳になる私ですが、今から約30年前、幼稚園に通っていた頃の話です。 その頃の幼稚園はよくお寺が運営していて、私が通っていたのもその一つでした。今思い返せば、園の横には…

地下トンネル

次は仲町台

就職活動で疲れ果てた私は、横浜地下鉄で眠りについた。 目が覚めた時、降りる予定だった仲町台ではなく、終点で降りると外はまだ真昼だった。 終点の駅は近代的な真っ白なドーム型…