出られなくなる山道

山道(フリー写真)

車好きの友人(Aとします)から聞いた話です。

G県のある山中に、夜間は通行禁止にされている山道があるそうです。

夜間通行禁止の理由として、

『明かりが全く無い上に見通しがかなり悪く、事故の危険性がかなり高いため』

と公式では言われています。

通行禁止と言っても通ろうと思えば通れるのですが、そもそも擦れ違いが出来ないほど道幅が狭い箇所もあるため、地元の人はまず使いません。

それに今では、比較的時間は掛かりますが、明かりもあり見通しの良い道が整備されているため、昼間でも使うメリットは殆ど無いそうです。

事故の危険が高いため夜間通行禁止にされていると書きましたが、地元の人によれば理由は他にもあり、それは公には出来ない理由だそうです。

つまり、その山道から出て来られなくなることがあり、そのまま行方不明になっている人も居るそうです。

曲がりなりにも近道であるため、昼間なら30分くらいで越えることが出来る山道です。

しかし夜間にその山道に入ると何時間走っても抜けることが出来ず、麓に辿り着くことが出来なくなるそうです。

実際にAは夜明け前に入ったことがあるらしく、2時間以上走って、周囲が明るくなった頃にようやく山道を出ることが出来たそうです。

行方不明になっている人たちはいずれもその身体だけで、車だけは後日山道で発見されているそうです。

どの車体にも損傷は無かったらしく、山道で一度止まったと見られているそうです。

彼らに何があったのかは不明ですが、その山道で一度でも止まると何が起こるのでしょうか?

それにしてもAは無事に出て来られて本当に良かったと思います。

燃料はギリギリだったそうです。

関連記事

居間のブラウン管テレビ(フリー写真)

神様の訪問

小さい時は親が共働きで、一人で留守番をする事がよくあった。 特に小学校の夏休みなど、日中は大体一人で家に居た。 小学4年生の夏休みの事だ。 トイレに行って居間へ戻った…

じいちゃんの話(長編)

これは俺が10年以上前に体験した話。 当時、俺は田舎にある実家に住んでいた。 実家は古くから立つ日本家屋ではあったが、辺り一面に田んぼがあるほどのド田舎という以外は、ごく普…

牛(フリー写真)

ミチ

私の母の実家は一度、家が全焼してしまう大火事に遭いました。 当時住んでいたのは、寝たきりのおばあちゃんと、母の姉妹6人だけ。 皆が寝付いて暫く経った頃、お風呂を沸かすために…

無人駅

見知らぬ駅

今でも忘れられない、とても怖くて不思議な体験。 1年と半年ほど前になるでしょうか、私がまだOLをしていた時の話です。 毎日毎日、会社でのデスクワークに疲れて、帰りの電車では…

10の14乗分の1

人間って、壁をすり抜けたりする事ができるの知ってました? 10の14乗分の1くらいの確率で。 細胞を形成している素粒子に透過性があるかららしい。たまたまこないだテレビで見て…

友子が二人

一人で繁華街を歩いていると、ガラス張りのカフェ店内の窓際席に一人でいる友子を見つけた。 友子の携帯に電話して驚かせようとしたが、友子は電話に気付かない。 じっと座り、目を左…

未来は書き換えられている

書き換えられた模範解答

高校受験を控えたある日のことでした。 私は市販の問題集を使って、自室で静かに勉強に励んでいました。 問題を一通り解き終え、答え合わせを始めたときのことです。 どの問…

女性のシルエット(フリーイラスト)

妻の生き霊

日曜日の朝、昼まで寝ていた俺はボーっとしながらリビングへ向かった。 トントンと包丁の音がする。台所では妻が昼飯を作っているようだった。 テレビを点けて携帯を見ると、一昨日内…

赤模様

赤いシャツの女

二年前の今頃の話。 その日、来週に迎える彼女の誕生日プレゼントを買いに、都内のある繁華街に居た。 俺はその日バイトが休みだったので、昼過ぎからうろうろとプレゼントを物色して…

迷いインコの怖いつぶやき

これはテレビ番組の『探偵!ナイトスクープ』で実際にあった話である。 依頼の内容は、迷いインコを保護したのでその飼い主を捜して欲しいというもの。 インコは「ピーコ」や「な○た…