んーーーー

illustration_dog_music2

現在も住んでいる自宅での話。

今私が住んでいる場所は特にいわくも無く、昔から我が家系が住んでいる土地なので、この家に住んでいれば恐怖体験は自分には起こらないと思っていました。

ここ最近ですが、リビングにいると昼夜を問わず、女性の低い声で鼻歌が聴こえてきます。

「ん~…ん~ん~…」

最初はよ~く耳をすまさなければ気づかないほどに遠くから聴こえてくるのですが、放って置くとどんどん近づいてきます。

「ん~…ん~ん~…」

それでも放って置くと、意識を集中しなくても聴こえるほどに近づいてきます。

「ん~…ん~ん~…」

なので私は、その声に気づいたらいつも般若心経の最後の部分を繰り返し唱えるようにしています(これしか知らないもので……) 。

とにかく般若心経の「ぎゃーていぎゃーてい」のくだりを唱え続けると、声はだんだん遠ざかっていきます。

このリビングではテレビにも集中できません。

声が聴こえ始めるのは完全に不定期ですし、早く声に気づいて般若心経を唱え始めなければ、時としてそれは部屋にまで入ってきます。

「ん~…ん~ん~…」

そういえばこの前、大好きなバンドのニューアルバムが発売されました。

発売日を楽しみにしていたので、お店で買った時はもうテンションアップ!

さっそく家に帰ってヘッドフォンで聴いて、一通り聴き終え、よかったな~と余韻に浸りながらヘッドフォンを取ったら耳元で

「んーーーーーーーーーーーーー」

って。

関連記事

みさきとおばあちゃん

朝起きて家の前でタバコをふかしていると、隣に住んでるAさんに声をかけられた。 「○○ちゃん(私の名前)、頼みたい事があるんだけど……。 ちょっと、みさき(Aさんの娘さん、小…

自転車と女性

髪の長い女性の正体

あれは、私が中学生の頃の出来事でした。 夜の塾を終え、星空を見上げながら、のんびりと自転車を漕いで家に帰っていました。 時刻は夜の十時を少し過ぎた頃だったと思います。 …

お嬢さんは地獄に落ちました

ある病院に、残り3ヶ月の命と診断されている女の子がいました。 友達が2人お見舞いに来た時に、その子のお母さんは、まだその子の体がベットの上で起こせるうちに最後に写真を撮ろうと思い…

山神様

これは、俺の曽祖父が体験した話です。大正時代の話ですので大分昔ですね。 曾じいちゃんを、仮に『正夫』としておきますね。 正夫は狩りが趣味だったそうで、暇さえあれば良く山狩り…

森(フリー素材)

模倣

以前、井戸の底のミニハウスと、学生時代の女友達Bに棲みついているモノの話を書いた者です。 「巣くうものシリーズ」で纏めてもらっているので、前と同じく説明は省略します(※これまでの…

行方不明になった友達(長編)

これはまだ解決してないというか、現在進行形の事件です。 プロの探偵さんに元々依頼してた事件なんですが、警察沙汰に発展するかもしれないし、しないかもしれないし、今はなんとも言えませ…

神秘的な山(フリー写真)

サカブ

秋田のマタギたちの間に伝わる話に『サカブ』というのがある。 サカブとは要するに『叫ぶ』の方言であるが、マタギたちが言う『サカブ』とは、山の神の呼び声を指すという。 山の神…

雪山のロッジ(フリー写真)

フデバコさん

幼稚園の行事で、雪山の宿泊施設へ泊まりに行きました。 小さなホテルに泊まるグループと、ロッジに泊まるグループに分かれていて、私はロッジに泊まるグループになりました。 「寒い…

揺れる木

2年程前の話。その年の夏、俺は大小様々な不幸に見舞われていた。 仕事でありえないミスを連発したり、交通事故を起こしたり、隣県に遊びに行って車に悪戯をされた事もあった。 原因…

大蛇(浮世絵)

大蛇の恩返し

中学2年生の時の体験です。 正体不明の生き物に目玉を盗られそうになり大蛇に助けられた、という不思議な体験をしました。 私が仏間で昼寝をしていた時、誰かに顔を押さえられまし…