寝たフリ
公開日: 怖い話 | 死ぬ程洒落にならない怖い話
小学校の先生Aから聞いた話。
高校の部活の合宿で、20人くらいが一つのでかい部屋に布団敷いて詰め込んで寝るってシステムだった。
練習がきついからみんな疲れて夜10時には寝ちゃってたんだけど、朝起きたらBの顔と足が泥が付いて乾いたみたいに汚れてた。
Aは全然記憶に無くて、なんで泥だらけなのか分からないけど、別に誰も気にもせず今日はちゃんと風呂で体をちゃんと洗えくらいに言ってた。
その日もみんなすぐに寝たんだけど、夜中にAがトイレに行きたくなって起きたらBだけ布団にいない。
あいつもトイレかと思って一つしかないトイレ行ったけど、Bはいなくて『あれ? あいつどこいったんだろう』と不思議に思ってた。
そのままみんなが部屋に戻ってもBはまだいない。おかしいなあと思いつつも睡魔には勝てずそのまま寝た。
朝起きたらBは布団にいたけど、やっぱり顔と足が泥だらけになっていた。
さすがにBも不安になってAにちょっと「明日俺を見ててくれないか?」と相談してきた。
AはBの隣に寝て、Bが起きたらすぐ分かるようにBの腕とAの髪の毛を糸で縛って寝た。夜中、Aは髪の毛が引っ張られて起きたらBが立ち上がり部屋を出て行ってしまった。
腹が減って無意識に食堂にでも行くのかと思ったら、Bはそのまま裸足で外に出て行ってしまった。
合宿所は山の中だったけどBはどんどん奥に進んで行って、10分くらい歩いたところで突然立ち止まり、おもむろに地面を掘り始めた。その場所はなんと墓地。
墓地と言っても墓石が綺麗に並んでるような場所ではなく、卒塔婆が立て掛けてあるだけの古い墓地だった。
Aは離れたところから見ていたけど、Bは地面から何か掘り起こしてバリバリ喰ってるようだった。
暗くてよく見えないけどどうやらこの墓地は土葬用らしく、Bが喰ってるのはほとんど白骨化した死体だった。
さすがにAは焦って逃げたけど、物音に気づいたBがちらっとこっちを睨んで追ってきた。
Aは全力で走って宿まで戻って布団に潜って、とにかくやり過ごそうとしてたらBが部屋に入ってきた。
Aは焦ったけど部屋には20人もいるからばれないだろうと思ってたら、Bが一番端っこで寝ている奴の心臓に耳を当て始めた。
しばらくすると隣の奴の心臓に耳を当てて行く。どうやら心臓の鼓動を調べているらしく、今全力で走ってきたAはかなり鼓動が速くなっていたため焦った。
『頼む!心臓静まってくれ!』と願えば願うほど焦って鼓動は速くなるばかり。そうこうする内についにBは隣の奴の心臓に耳を当て始めていた。
目を瞑って誤魔化せば大丈夫だと思って、とにかく寝たフリをしていると、ついにBの耳がAの胸に乗っかってきた。
相変わらず心臓は速いけど『大丈夫大丈夫』と自己暗示をかけているとすっとBの耳が離れていった。
そして隣の方にBは移っていった。
Aは『はあ、良かった。なんとかやり過ごしたようだ』と思ってしばらくそのまま寝たフリをし、10分くらいして一体どうなったんだろうと思ってうっすらと目を開けた時。
Bが目の前5センチのところで明らかにイッた目で思い切りこっちを見て一言。
「見つけた」