数ヶ月前の出来事で、あまりにも怖かったので親しい友達にしか話していない話。
ある明け方に、同じ夢を二度見たんです。
街で『知り合いかな?』と思う人を見かけて、暇だからと後を追う夢。
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その人は自分に気付いている風なんだけど、ちらちら後ろを窺いつつも無視して先を歩いて行く。
さっきまで賑やかな街だったのに、いつの間にか線路沿いの寂れた道に入っている。
自分の左側に線路とフェンス、少し先に歩道橋みたいな跨線橋、もう少し先には高架の線路が見える。
その人が跨線橋を渡るから付いて行くと、線路の反対側は寂れておどろおどろしい墓地でした。
相手はもう後ろを振り返らない。
怖いと思いながらも付いて行くと、墓地が途切れていきなり雪原。
いつの間にか背後の墓地も消えていました。
その人はざくざく足音を立てて去って行くのに、自分は雪に足を取られて歩けず、取り残される夢なんです。
二度寝したら墓地からやり直しでした。
そちらに行っては駄目だと呼び掛けても結果は同じ。
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気持ち悪い夢だったから、普段は書かない夢日記をつけました。
そして、自分にもその人にも悪い事が起きないようにと祈ったのです。
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それから何事も無く、二週間経ったある日。
友達に連れられ、山手線を恵比寿から渋谷へ向かう線路沿いの道を初めて通ったんです。
すると、その光景があまりにもあの夢に似ている。
左側に山手線、歩道橋みたいな跨線橋、その先に高架の東横線…。
少し怖かったので、
「この前に見た怖い夢とそっくりだ」
「気のせいだよ」
などと友達と話していた。
その時…。
目の前の電柱の貼り紙に気が付いて、二人とも悲鳴を上げました。
そこにはたった一言、
『夢で見た光景』
と短冊に筆文字で書かれていたんです。
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それ以来、その道は使っていません。
きっとこの先も通らないし、歩道橋は絶対渡らないつもり。
偶然にしても怖過ぎました。
こういう体験って何と言うんでしょうね。デジャヴとも予知夢とも少し違うし…。