昔住んでた家の近くの河川敷に広い公園があり、そこに小さな森があった。その森の中には、異常に暗い空間が何カ所かあって、よくそこで遊んでた。
もう少し説明すると、その空間だけ切り取ったように暗くなっている。木々に光が遮られてるとかじゃなくて、そのスペースだけとにかく、塗りつぶしたような黒って感じではないけど暗い。大きさは仮設トイレくらいじゃないかな。
変な場所で、時間の流れが異様に速かったり、そこに入ると回りから存在が掻き消えちゃうような感じ。だからかくれんぼとかではそこは使わないルールになってた。
子供ながらに不思議に思ったけど、秘密の場所みたいな感じで子どもたちだけが知ってた。
その空間は増えたり減ったりもしてた。いつもより暗くないなって感じた三日後くらいには無くなってたりした。そのかわりに別の場所にできてたりするんだけど、あの森の中にしか発生しなかった。
数は多分一定で、四つか五つだったと思う。足元はふかふかというかグニャグニャしてて周りとは感触が違ってたのを覚えてる。
あれが何だったのかな。今もあるのかは知らないけど、変なものもあるんだなと思ったよ。