飲み会で後輩から変な話を聞いた。
車の話をしていたのだが、最近、車に不可解な傷がついたとか。
バイト帰りの深夜、他に走る車もない道路で信号待ちをしていたところ、突如後ろからゴツンと衝撃がきた。
買ったばかりの車を傷つけられた後輩は怒り心頭。すぐに車外に出たが、驚いた。
追突して来たはずの後続車はおらず、真っ直ぐ続く道路には自分と自分の車だけだった。
しかし追突されたのは確からしく、後部がべっこりとへこんでいた。
後輩は怖くなってすぐに立ち去った。
※
二日後、やはりバイト帰りの深夜、同じ道路を走っていると例の信号に差し掛かった。
あの夜と同じで他に走る車はない。
何となく怖くなり、さっさと走り抜けたかったが、信号は赤に変わった。
後輩はやむなく減速したがその時、前方にゴツンと衝撃を感じた。
今度は間違いなかった。前には何もない。
後輩はそのまま赤信号を無視して目一杯飛ばして家に帰った。
帰宅後に確認すると、何かに衝突された跡が確かにあった。
二回とも見えていなくてはおかしいはずのヘッドライトやテールランプには、全く気付かなかったらしい。
※
車は現在修理中。
板金屋は、
「フロントもバックも当たった車は同じ塗装じゃないですか? どういうシチュエーションですか!?」
と驚いていたそうだ。
修理が終わっても、そのまま乗り続けるかどうかちょっと迷っているとか。
今は代車を使っているが、
「かなりの遠回りをしてでも、あの信号付近は二度と通りたくない」
と話していた。
この話のせいで飲み会が凍りついた。