うちは母方の血筋が強い親戚は兄を含めて霊感が強いんだが、自分は父方の血が強いのかあまりない。
それで霊感が無いもんだから、怖い話特集とかの雑誌を、枕元に置いて寝る前に読むとか平気でやってた。
その延長線の話で実話を一つ。
死ぬほど怖い話ではないが、みんなも気をつけないと死ぬかもしれないぜ?という話。
よくあるネタで「この話を読んだら、3日以内死ぬ」みたいなのあるじゃん。
定番過ぎて笑い飛ばすような言い回しだけど、実はあれ馬鹿にできないんだよ。
中学生の頃だったかな。
季節は夏で、テレビや雑誌でも「心霊特集」ってのが大流行だった。
友達もみんな怖い話とか大好きで、心霊写真や怖い話が載ってる雑誌を回し読みしてた。
でも、みんなその雑誌や本を持って帰りたく無いんだよな。
おかげで自分は「おまえ平気なんだろ? やるから持って帰ってくれ」って全部押し付けられて、自分の部屋には心霊写真集やら怖い話の雑誌やらが山積みになってた。
自分は全然平気なもんだから、その日の夜も寝る前にお気に入りのページなんかを読んでたんだ。
そのいくつかある短い話の中に、
「この話を読んだらそいつがやってきて、窓をノックするんだ。
その時に呪文を3回唱えないと、部屋に入り込んできて首を切られるぞ」
ってのがあった。
まあ、定番の「特集ページ」みたいなやつで、読み流すような一段落程度の短い話だった。
いつも通り適当に本を楽しんで、そのまま寝ようと横になってた。
しばらくすると、窓から「コツッ、コツッ」って音がしたんだ。
自分の部屋は2階で、車道に面した窓しかない。
ベランダもないし、せいぜい窓枠に小鳥ならとまれるかな?くらいの突起しかない。
最初は鳥かと思ったけど、夜中だし、都会の真ん中で昼間でも鳥が窓を小突くなんてあったためしがない。
窓の方を見てみたけど、カーテンがかかってるし何も見えない。
気のせいかな?とは思ったんだけど、例の話を読んだ直後だったから気にならないわけがない。
空耳だと自分に言い聞かせつつも、目は冴えて、頭の中じゃ例の呪文を必死になって思い出してる。
自分はただただ息を飲んで耳をすませてた。
すると今度はハッキリと「コツッ、コツッ」って窓をノックする音が。
やべーー!!ってさすがに怖くなって、慌てて呪文を3回唱えたよ。
その呪文は、何十年も前の話なのに未だにハッキリと覚えてる。
「オカムロ、オカムロ、オカムロ」
その後は何も起こらなかった。
しばらくして、おそるおそる窓際までに行ってカーテンを開けて確認したけど、もちろん何もない。
家の前はアスファルトの道路で、向かいはガレージ。
夜中は、人が歩いてたら足音だって聞こえる環境だから、誰かのいたずらってのも考えられない。
一体何だったのか未だに判らない。