昔、高校受験の勉強で市販の問題集をやっていた時の話だ。
一通り回答した問題の答え合わせをやっていたのだが、一問だけ正解と解説を読んでも解らない問題があった。
何度計算してもAなのに、問題集付属の解答にはBと書いてある。
しばらく考えて気付く。
『これ問題集の模範解答の方が間違ってるじゃん…』
少しイラッときた俺は、模範解答を赤ペンで書き直してやった。
市販の問題集と言えど、誤字脱字間違いは時々あるので、別にそこまで気にしていなかった。
勉強の腰を折られた俺は、一旦下の階に下りて飯を食べてから再び勉強を開始したが、先ほど俺が訂正した模範解答が、本当の正解である解答になっている。
俺が引いた赤ペンでの斜線と正解は跡形もなく消えていた。
簡単に言えば、元々模範解答には「B(出版社のミス)」と印刷されていたのが、少し目を離した隙に「A(正解)」に綺麗に書き変わっていたのだ。
記憶違いだろうか。確かに過去にBだったものが何かの拍子にAになっていたなんて事は何回かあった。
でも、今回は記憶がはっきりしている。確かに問題集の模範解答は間違っていて俺は訂正した。
こういう事が起こるのは、決まって確率の低い方から高い方への書き換えだ。
パラレルワールドやタイムパラドックスについては詳しくないが、過去に何らかの変化があった場合、その時点でパラレルに分岐するという考えが一般的なのだと思う。
もしかしたら、一見分岐していると思われる世界の運命線は一つで、過去が変わったらそれ以降の未来は書き換えられているのかもしれない。それに気が付かないだけで。