俺の昔からの友人がよく死体に遭遇する。
中学時代、一緒に海に遊びに行ったら水死体を見つけた。
その時、既に5回も人の死体を見たことがあったそうだ。
まあ、中学生男子は誇張してなんぼの世界だから、「すげー!」なんて言いながらも半信半疑だった。
でも、それから俺が知ってるだけで奴は8回程、不慮の死に遭遇している。
普通、人の死に立ち会うなんて早々ないだろ?
奴は死神の生まれ変わりなんじゃないかと思える程だ。
そうと思える事件に奴と二人で遭遇したことがある。
※
塾の帰り、奴と二人で三鷹駅の2番線ホームで電車待ちしていた時。
忘れもしない1997年5月の水曜。
前に中肉中背のサラリーマンが立っていた。確か、雑誌でも読んでたんだと思う。
電車が入線するアナウンスが流れても、サラリーマンに異変はなかった。
でも、電車がホームに入ると思われたその時、突然サラリーマンが後ろを勢いよく振り向き、友人を凝視したかと思うと、そのままの体勢でまるで誰かに押されたかのように横に硬直した姿勢で倒れた。
その先はよく憶えていないが、「ガーン」という音と、ブレーキ音…それだけだった。
なぜサラリーマンは背後に目をやったのか。
どうしてあんな不思議な態勢で飛び込んだのか。
不思議だが、友人が関係しているのではないかと思わざるを得なかった。
奴とは今でも交流はある。
結婚して、子供も生まれて幸せに生活しているらしい。
しかし未だに2年に1、2回のペースで死体に遭遇しているらしい。