大学時代に横浜の◯内駅前のファミレスで、夜勤調理のバイトをしていました。
一緒に働いているバイトに二名、いわゆる見える人が居ました。
その二人(AとBにします)曰く、そのファミレスは霊の通り道なのだそうです。
私は初めは信じていなかった、と言うかビビりなので信じないようにしていたのですが…。
ある時、Aと二人でキッチンで働いている時に、Aが食器洗浄機を動かしながら
「邪魔すんな!」
と叫びました。
私はその時Aとは離れて仕事しており、特に会話もしていなかったので、一体どうしたのか聞くと、五歳くらいの子供が足元で遊んでいるらしい。
勿論そんな子供は居ません。
何事も無かったかのように作業を続けるAに戸惑っていると、接客していたBが
「またあの子供居たね~」
と普通に言っていて、何となく私も『見える人にとっては普通の事なんだな』と思うようになりました。
※
そのファミレスにはデータ管理用のパソコンが二畳ぐらいの個室にあり、ドアには小窓が付いていました。
ある時、Bがそこで入力していると急に真っ青な顔で出て来て、誰かドアを叩いたか聞いて来ました。
ちょうどキッチンから食器を下げる用の棚の向こう側にそのドアがあるので、ドアはキッチンから見えているのですが、誰もドアには近付いてもいません。
B曰く、そのドアを
「バン!!」
と強く叩かれたとの事。
そんなはずはないとドアを見ると、小窓の所に手形が付いていたり…。
ちなみにそのパソコン部屋はやばいらしく、入力に時間がかかると、壁から二本手が生えて来て何かを探しているらしい。
※
そんな中で働いて二年が過ぎたお盆の時期の事です。
AとBが、
「やっぱこの時期は多いね~」
と、いつものように話をしています。
そんな中で作業をしていると、視界の外れで、小さな子供が食器洗浄機に向かって走って行くのが見えました。
ハッと見ても誰も居ない…深夜の二時半です。お客さんの中にもそんな子供が居るはずありません。
その事をAとBに伝えると、
「おー!見えるようになったのか!」とA。
「見えるようになったらしょうがないねー」とB。
二人の話によれば、霊感の強い人には先天性と後天性があり、後天性の人は、霊感の強い人の傍に居ると見える人になりやすいそうです。
ちなみに霊感が強い人は、意識して霊を見る事が出来るが、強くない人は、視界の外れなど見ようとしていない所で見えるとか…。
※
私は間もなくバイトを辞めました。それから少し経ちファミレスも潰れていました。
現在、私は霊感ゼロです。見える人にはなるべく接しないようにしています。
私にとってあの時のAとBが洒落怖でした。
この世で一番欲しくないものは霊感です。