自分が3歳の時に父方の祖母が亡くなった。
皆さんお察しの通り、人の死という現実の認識が出来ない子供の事です。
私はキャッキャッと親戚が居る中をふざけながら走り回り、それこそ幼児版お盆かお正月かといった趣で、事の重大さなど知る由もなかった。
棺桶に打つ釘も、訳の解らないまま石をガンガンやっていた記憶がある。
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幼児組はかくれんぼをやろうという事になり、鬼でない私は三面鏡と大きなお茶の木箱の間に隠れた。
体が小さい私は、結構奥の方まで進んで行った。
奥には亡くなった筈の祖母が、体育座りの格好で
「よっちゃん、こっちこっち」
と手招きをして、私を促してくれた。
私が「おばあちゃんもかくれんぼしてるの?」と問うと、
祖母は「そうだよ。ここに居る事は誰にも言っちゃだめだよ」と答えた。
私は「じゃあ、別の場所に隠れる」と言い、結局押し入れの布団の間に隠れた。
当然、そのまま隠れ続けていた祖母が見つかる事は最後までなかった…。
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私も小学生になり、林間学校の宿泊研修で怖い話をしようという事になり、その時に初めて祖母の隠れ場所を言ってしまった。
夜も更け、みんながそれぞれ眠りに就く頃、私だけ寝袋の中で涙が止まらなかった。
ネタにした事、面白おかしく語った事、隠れ場所をばらしてしまった事。
純粋に正直になろうと思う時、今でもあのかくれんぼの事を思い出します。