母方のじいちゃんが何年か前に亡くなったのだけど、家によく出るらしい。
殆どの場合はばあちゃんが目撃するのだが、対応が実に大らかだ。
ある日、ばあちゃんが台所仕事をしていると居間で気配が。
行ってみると、生前じいちゃんの定位置だった座椅子に、薄ボンヤリとしたじいちゃんが座っていた。
ばあちゃんは、
「テレビぐらい点けたら良いのに」
と言いながらリモコンを操作。
台所に戻ってお茶を淹れ、じいちゃんに出すとすうっと消えて行った。
またある日、またばあちゃんが台所仕事をしていると、開けておいた勝手口の向こうでじいちゃんが雨の中立っていた。
ばあちゃんは、
「このバカたれ!雨降ってんだから早く中に入れ!」
と怒鳴りつけ、乱暴に手招きしてじいちゃんを呼び入れた。
そして、体が冷えているだろうからと風呂を沸かしてやったら、風呂場からチャプチャプと水音が。
ばあちゃん曰く、
「じいちゃん寂しがりだったからねぇ。寂しいなら行ったり来たりじゃなく、ずっと居ればいいのにねぇ」
そういう問題なのかとは思うが、ばあちゃんは結構楽しそうだ。