今から十年以上前に体験した不思議な話です。
母が10歳の頃に両親(私の祖父母)は離婚していて、母を含む4人の子供達は父親の元で育ったそうです。
「凄く貧乏だったけど、楽しかった」
「私ら子供達は、みんな父ちゃんが大好きやった」
色んな話をしてくれた最後はいつもこう言い、私が生まれる十年前に亡くなった祖父をいつも思い出し、涙を流していました。
爺ちゃんの話をして泣き出す母を見ていると、
『お母さんは会いたがってるのに、何で爺ちゃん来てくれないんやろ?』
そう思うようになり、それから毎晩寝る前に、
「爺ちゃん、お母さんに会いに来て下さい」
と、手を合わせてお願いする事が習慣になりました。
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それから一ヶ月ほど経ち、いつも通り寝る前にお願いをして手を合わせた後、目を閉じて眠ると、夢の中に写真でしか知らない爺ちゃんが現れた。
爺ちゃんは私の側に座ると、買い物袋いっぱいに入ったポン菓子を食べながら、
「心配せんでも、ワシ、ちゃんと見てるから」
と笑顔で言い、私にもポン菓子を分けてくれました。
夢から覚めそうになった時、爺ちゃんは私の頭を撫で、
「今度、お母さんにカラメル焼き作って貰い。あの子の作るのはコゲかけてるけど、美味しいから」
と言いました。
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起きてすぐ台所に立つ母親に夢の話をすると、そのまま座り込んで子供のようにワンワン泣き出し、
「お父ちゃん、ありがとう…ありがとう」
と繰り返し呟いていました。
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その後、ポン菓子は爺ちゃんの好物で、カラメル焼きは一番最初に爺ちゃんが母に作り方を教えたお菓子だと聞きました。
何度作ってもコゲるのに、爺ちゃんは「美味しい」と言って食べてくれていたそうです。