
私が小学校1年生の頃の話です。当時の私はおとなしく、気の弱い方で、遊ぶのも同じようなおとなしい友達とばかりでした。
しかし、何がきっかけだったのかは覚えていませんが、気の強い子たちが集まるグループとも遊ぶようになりました。ある日、そのグループの子たちと一緒に、工事現場か農業用かは定かではないが、地面に掘られた直径10メートル、深さ3メートルほどの大きな円錐形の穴で遊んでいました。この穴は、子供なら何とか這いつくばって登ることができるような傾斜でした。
私たちは穴の中で上がったり下りたりしながら、泥だらけになりながら楽しんでいました。その時、グループの一人がどこかから小さい捨て犬を見つけてきて、何の躊躇もなく穴の中に投げ込みました。子犬は必死に上がろうとしましたが、グループの子たちは笑いながら土の塊を投げたり、子犬が上がりかけると再び下まで落とすといった酷いことを繰り返していました。
最初は耐えて見ていた私も、次第にその光景に耐えられなくなり、いつの間にか子犬を守るために穴の中に飛び込んでいました。そして、子犬を抱える私に向けて、彼らは罵声と共に土の塊を大量に投げつけてきました。
しかし、泣きながらも子犬を抱え続け、何とか耐え続けた結果、いつの間にか彼らはどこかへ去っていました。泥だらけのまま、私と子犬はようやく穴から這い上がりました。その時、目の前に突如として現れたのは足でした。視線を上に移すと、そこには修道院のシスターのような服装をした女性が佇んでいました。
彼女は私に「その優しさを大切にして下さい」と言いました。その言葉が言われたことは鮮明に覚えていますが、その後の記憶がまったく残っていません。周囲は畑と農家が点在するだけで、修道院の気配はどこにもありませんでした。