友人は最近仕事が忙しく、自宅に帰るのは午前2時~3時になっていたそうです。
この自宅というのは、8階建てのマンションで7階にある部屋です。
いつものように、帰りが2時を過ぎていたので疲れ切ってマンションに辿り着き、エレベーターで部屋まで行ってとっとと寝ようと思っていたそうです。
エレベーターに乗り込み7階のボタンを押します。
この時間だと利用する人も殆ど居らず直通なのですが、2階で止まって扉が開きました。
でも、待ってる人はいなかったそうです。
それで「おかしぃなあ…」と思ったそうなのですが、なにやら廊下の奥の方から誰かが走ってくる足音が聞こえます。
「あ、誰か乗るのかな?」
と思ったのですが、『開』のボタンを押すより早く扉が閉まってしましました。
「ま、いっか」
とその場は何も気にしなかったのですが、3階でまたエレベーターが止まり扉が開きました。
「おっかしぃぃなあ…」とただ不可解に思った直後、身が凍る思いをしたそうです。
またもや、廊下の奥の方から走る足音が聞こえてくるのです。
それも、どうやらこっちに向かって走って来ている様子…。
鳥肌がゾワゾワっと立ち、慌てて『閉』ボタンを押したそうです。
心臓がドキドキしながらも「もしかして次の階も止まるのでは…」と直感的に思ったそうです。
直感は当たり、4階でも止まり扉が開こうとします。
扉が開く前から『閉』ボタンを連打したのですが、やはりある程度開いてしまいます。
その開いた時に、エレベーターの中からは見えない位置だったのですが、もうエレベーターの近くまでその走る足音が聞こえてきてたそうです。
それと、苦しそうで、くぐもってはいるが女らしき声で、
「い゛れでぇぇ…」
と聞こえたそうです。
もう、半ば気絶しかかりそうになりながらも5階でも止まると確信して『閉』ボタンの連打。
それで、また5階で扉が開いてしまった訳なのですが、ちょっとだけ開いて閉る瞬間、廊下からエレベーターホールに走り込んで来た人が見えたそうです。
友人は恐怖で泣き叫びながら『閉』ボタンを連打してたのですが、6階でまた止まり、扉が開いた瞬間、2メートル近く前方に目をかっと見開いたバサバサの長い髪をした人がこっちに向かって走って来ていて、先ほど言っていたと思われる「れでぇぇぇぇ」の部分を聞いたところで、気絶したのか記憶が途切れているそうです。
気が付くと自宅のベットの中にいたそうです。
夢だったのかとも思ったそうですが、どう考えてもそれはないと本人は言い張っています。